一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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シダレヤナギのリグニンとセルロース含量の関係

質問者:   中学生   とくになし①
登録番号3248   登録日:2015-04-03
 私は生物部でシダレヤナギの枝垂れる仕組みについて研究しています。
 本ページで調べたところ、シダレヤナギはあて材が形成されないため枝垂れる事が分かりました。また、あて材について調べたところ、リグニンとセルロースの含量が関係していることが分かりました。
 シダレヤナギのリグニンとセルロースの含量の関係は分かっているのでしょうか。分かっていない場合、どのような実験をすれば分かるのでしょうか。
とくになし① さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
シダレヤナギの枝垂れ性とセルロース、リグニンの関係を調査した研究を見つけることができず、関係があるのかどうかを確認することができませんでした。シダレザクラからの類推による議論のように思えます。
そこで「分かっていない場合、どのような実験をすれば分かるのでしょうか。」のご質問へのお答えは、「シダレヤナギの枝垂れ性とリグニン、セルロースとの関係」を自ら調べることとなります。しかし、木材のセルロース量やリグニン量を量るには困難で高度の技術を必要とします。2つの方法が考えられますがどちらも中学校生物部において実施することがかなり難しいものと思われます。
1つの方法は、枝垂れている枝の断面を顕微鏡で観察して細胞壁の厚さ、リグニンの沈着程度、木部の構成状態などを調べるものです。枝垂れ性のないヤナギ枝と比較することになります。木部は固いので顕微鏡標本のための薄い切片を作るには熟練した技術がいると思います。セルロースやリグニンの検出(染め分け)、得られた顕微鏡像の判断、解釈には高度の経験を必要とするでしょう。幸運であれば学校を介して比較的簡便な走査型電子顕微鏡を利用できる環境があるかもしれません。これが使える状況であれば木部細胞壁の状態をかなり詳しく観察することができますがやはり熟練が必要となります。大学研究機関での木部構造の研究の多くは顕微鏡観察によっています。
次の方法は、リグニンとセルロース、ヘミセルロースを化学的方法で分析定量するものですが、材を細粉にして水酸化ナトリウム(「苛性ソーダ」、濃い硫酸や亜塩素酸ナトリウムといった劇薬で煮沸するなど危険な操作をしなければなりません。さらに分解された糖類を定量することも必要です。中学生実験には適さないものではないかと恐れます。
ということで、とても残念ですがみずほさんの疑問に自ら答えを得ようとすることは今の段階では無理なこととお答えするしかありません。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2015-04-10
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