質問者:
中学生
とくになし②
登録番号3249
登録日:2015-04-03
私は生物部でシダレヤナギが枝垂れる仕組みについて調べているものです。本ページで調べたところ、シダレヤナギにジベレリンを与えると枝垂れなくなると書かれていました。みんなのひろば
シダレヤナギにジベレリンを与える方法
そこで、シダレヤナギを枝垂れさせないためには、どのようなジベレリンを、どのようにジベレリンをしだれヤナギに与えればよいのでしょうか。
とくになし② さん:
先にお送りした登録番号3249回答を次のように変更させていただきます。JSPPサイエンスアドバイザーの柴岡弘郎先生から私が見落としていた重要な文献のご指摘を受けました。
サクラ、モモ、ヤナギなどの枝垂れ性については日本女子大学名誉教授 中村輝子先生のご研究によるものですが、先生が書かれた文献ではシダレヤナギの枝垂れ性もジベレリン投与で立ち性になることが記載されていました。。
茎が上方へ伸びる性質(立ち性)は、茎が外からの力を受けて曲がると力のかかったところにあて材形成が起きて茎を立ち上がらせるからです。サクラのような広葉樹のあて材は「引っ張りあて材」で外力が加わる側の組織に引張の力を与えるようにできます。枝は斜めに上方向に出ますので、枝の付け根付近の上側に作られます。そのため、重力方向に対して少し曲がったらあて材形成で修正することを繰り返して立ち性となっているとされています。広葉樹の引っ張りあて材はリグニンを沈着するよりもセルロースをたくさん合成して引張りの力を産み出しているようです。
枝垂れ性のサクラ、モモ、ヤナギにジベレリンを枝先端に与えると枝垂れ性が失われて立ち性になるのでジベレリンは重要な働きをしています。しかし、サクラではオーキシン(インドール酢酸)を与えても立ち性になりますがモモ、ヤナギではオーキシンの効果はありません。モモ、ヤナギでは内生のオーキシンが十分にあるからのようですので、ジベレリン以外の植物ホルモンも関与していると思われます。ジベレリンを外から与えると立ち性になるなら枝垂れではジベレリンが足りないからと思われるかもしれませんが、シダレサクラではジベレリン生合成遺伝子の発現も高く、ジベレリンの量も立ち性よりも多いので枝垂れ性は茎先端で作られたジベレリンの移動に異常があるためではないかと推定されています。まとめると内生のジベレリンとオーキシンがともに働いて伸長帯の伸長成長を、伸長を終わった部分では細胞分裂、二次細胞壁、特にセルロース合成を促進して丈
夫な曲がりにくい茎、枝を作っていることになります。ところがこれだけでは説明できない実験結果もあり実際にはもっと複雑な仕組みで立ち性(枝垂れ性)が保たれていると思われます。
シダレヤナギでも外からジベレリンを与えれば枝垂れ性は抑えられます(立ち性になる)。結果は予想されていますが、ご自分で実際に確かめることも大切です。中村先生たちはジベレリンを茎の成長先端に与えていますがミクロ注射筒を使う必要があります。しかし、ジベレリン溶液を茎先端部に噴霧しても効果が出るはずです。一般に使われている濃度範囲、10~100ppmの水溶液を作り霧吹きで茎に吹き付けてみてください。初めは10ppmと100ppmで試したらどうかと思います。ジベレリンは市販
されており、粉剤、液剤とありますがどちらでも同じです。市販品は純粋なジベレリンでなく、無害な増量剤で薄められて使いやすくなっています。市販品には必ずジベレリンの含有量が記載されていますので、ジベレリン濃度が希望の濃度になるように水で薄めてください。
先にお送りした登録番号3249回答を次のように変更させていただきます。JSPPサイエンスアドバイザーの柴岡弘郎先生から私が見落としていた重要な文献のご指摘を受けました。
サクラ、モモ、ヤナギなどの枝垂れ性については日本女子大学名誉教授 中村輝子先生のご研究によるものですが、先生が書かれた文献ではシダレヤナギの枝垂れ性もジベレリン投与で立ち性になることが記載されていました。。
茎が上方へ伸びる性質(立ち性)は、茎が外からの力を受けて曲がると力のかかったところにあて材形成が起きて茎を立ち上がらせるからです。サクラのような広葉樹のあて材は「引っ張りあて材」で外力が加わる側の組織に引張の力を与えるようにできます。枝は斜めに上方向に出ますので、枝の付け根付近の上側に作られます。そのため、重力方向に対して少し曲がったらあて材形成で修正することを繰り返して立ち性となっているとされています。広葉樹の引っ張りあて材はリグニンを沈着するよりもセルロースをたくさん合成して引張りの力を産み出しているようです。
枝垂れ性のサクラ、モモ、ヤナギにジベレリンを枝先端に与えると枝垂れ性が失われて立ち性になるのでジベレリンは重要な働きをしています。しかし、サクラではオーキシン(インドール酢酸)を与えても立ち性になりますがモモ、ヤナギではオーキシンの効果はありません。モモ、ヤナギでは内生のオーキシンが十分にあるからのようですので、ジベレリン以外の植物ホルモンも関与していると思われます。ジベレリンを外から与えると立ち性になるなら枝垂れではジベレリンが足りないからと思われるかもしれませんが、シダレサクラではジベレリン生合成遺伝子の発現も高く、ジベレリンの量も立ち性よりも多いので枝垂れ性は茎先端で作られたジベレリンの移動に異常があるためではないかと推定されています。まとめると内生のジベレリンとオーキシンがともに働いて伸長帯の伸長成長を、伸長を終わった部分では細胞分裂、二次細胞壁、特にセルロース合成を促進して丈
夫な曲がりにくい茎、枝を作っていることになります。ところがこれだけでは説明できない実験結果もあり実際にはもっと複雑な仕組みで立ち性(枝垂れ性)が保たれていると思われます。
シダレヤナギでも外からジベレリンを与えれば枝垂れ性は抑えられます(立ち性になる)。結果は予想されていますが、ご自分で実際に確かめることも大切です。中村先生たちはジベレリンを茎の成長先端に与えていますがミクロ注射筒を使う必要があります。しかし、ジベレリン溶液を茎先端部に噴霧しても効果が出るはずです。一般に使われている濃度範囲、10~100ppmの水溶液を作り霧吹きで茎に吹き付けてみてください。初めは10ppmと100ppmで試したらどうかと思います。ジベレリンは市販
されており、粉剤、液剤とありますがどちらでも同じです。市販品は純粋なジベレリンでなく、無害な増量剤で薄められて使いやすくなっています。市販品には必ずジベレリンの含有量が記載されていますので、ジベレリン濃度が希望の濃度になるように水で薄めてください。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2015-04-10
今関 英雅
回答日:2015-04-10