質問者:
中学生
kou
登録番号0326
登録日:2005-08-04
こんにちは。みんなのひろば
落葉しない葉について・・・・・
落葉しない葉を教えてください。
また、落葉する葉と落葉しない葉の、違いを教えてください。
できるだけ、くわしく教えてください。よろしくお願いします。
kouさま
大変遅くなりましたが、ご質問についての回答を大阪大学の寺島一郎教授から頂きましたので、お送りいたします。
●葉の寿命
まず,落葉せず,永遠に生きる葉というのはありません。常緑樹と落葉樹とをくらべると,常緑樹の葉の寿命の方が長いことはいうまでもありません。ただし,常緑樹という用語は,1年中緑に見える木ということを意味していて,葉の寿命が1年以上であることを意味するわけではありません。なかには,クスノキのように,日当たりのよい場所では葉が1年後には半数になってしまうものもあります。この場合,葉が半数は寿命が1年以内ということになります。マングローブを構成する常緑樹のなかにも葉の寿命が半年程度のものがあります。一般的に寿命がもっとも長いのは常緑針葉樹で,マツの一種(Pinus longaeva)の葉には40年以上生きるものがあります。常緑広葉樹にも葉の寿命が数年にわたるものがあります。
これらの知見について詳しく知りたいとお思いでしたら,菊沢喜八郎 葉の寿命の生態学ー個葉から生態系へ 共立出版(2005)をお読みください。
●落葉のメカニズム
落葉する際,葉柄の付け根に離層が形成されます。離層では,細胞壁をとかす酵素が生産され細胞同士の接着が弱くなったり,細胞自体が分解されたりします。離層が形成される時には,植物ホルモンであるオーキシンが減少し,エチレンが増加することが知られています。また,ジャスモン酸も離層形成を促進します。離層の構造は 増田芳雄 植物生理学 培風館(1977)などを参考にして下さい。
植物ホルモンについて詳しく知りたいとお思いでしたら,小柴共一・神谷勇治編 新しい植物ホルモンの科学 講談社サイエンティフィック(2002)などが参考になります。
もっともはっきりとした離層をつくらない植物もあります。ブナ科のカシワ,コナラ,クスノキ科のヤマコウバシ,マンサク科のシナマンサクなどは,枯れて褐色となった葉をつけたまま越冬します。ヤナギ科のヤマナラシ(ポプラのなかま)も黄白色の葉を春までつけています。これらの植物の祖先は常緑性だったので,その性質がこのような型でたもたれたまま温帯域まで分布をひろげて種分化をとげたようです。
樹木の観察については
八田洋章 著 木の見かた,楽しみかた ツリーウオッチング入門 朝日選書(1998)
八田洋章 著 雑木林に出かけよう 朝日新聞社(2002)
寺島 一郎(大阪大学)
***
この回答中、「はっきりとした離層をつくらない植物もあります」という記述は間違っています。この問題については、登録番号5843に詳しい解説がありますのでご覧ください。登録番号2622も大変参考になります。
大変遅くなりましたが、ご質問についての回答を大阪大学の寺島一郎教授から頂きましたので、お送りいたします。
●葉の寿命
まず,落葉せず,永遠に生きる葉というのはありません。常緑樹と落葉樹とをくらべると,常緑樹の葉の寿命の方が長いことはいうまでもありません。ただし,常緑樹という用語は,1年中緑に見える木ということを意味していて,葉の寿命が1年以上であることを意味するわけではありません。なかには,クスノキのように,日当たりのよい場所では葉が1年後には半数になってしまうものもあります。この場合,葉が半数は寿命が1年以内ということになります。マングローブを構成する常緑樹のなかにも葉の寿命が半年程度のものがあります。一般的に寿命がもっとも長いのは常緑針葉樹で,マツの一種(Pinus longaeva)の葉には40年以上生きるものがあります。常緑広葉樹にも葉の寿命が数年にわたるものがあります。
これらの知見について詳しく知りたいとお思いでしたら,菊沢喜八郎 葉の寿命の生態学ー個葉から生態系へ 共立出版(2005)をお読みください。
●落葉のメカニズム
落葉する際,葉柄の付け根に離層が形成されます。離層では,細胞壁をとかす酵素が生産され細胞同士の接着が弱くなったり,細胞自体が分解されたりします。離層が形成される時には,植物ホルモンであるオーキシンが減少し,エチレンが増加することが知られています。また,ジャスモン酸も離層形成を促進します。離層の構造は 増田芳雄 植物生理学 培風館(1977)などを参考にして下さい。
植物ホルモンについて詳しく知りたいとお思いでしたら,小柴共一・神谷勇治編 新しい植物ホルモンの科学 講談社サイエンティフィック(2002)などが参考になります。
もっともはっきりとした離層をつくらない植物もあります。ブナ科のカシワ,コナラ,クスノキ科のヤマコウバシ,マンサク科のシナマンサクなどは,枯れて褐色となった葉をつけたまま越冬します。ヤナギ科のヤマナラシ(ポプラのなかま)も黄白色の葉を春までつけています。これらの植物の祖先は常緑性だったので,その性質がこのような型でたもたれたまま温帯域まで分布をひろげて種分化をとげたようです。
樹木の観察については
八田洋章 著 木の見かた,楽しみかた ツリーウオッチング入門 朝日選書(1998)
八田洋章 著 雑木林に出かけよう 朝日新聞社(2002)
寺島 一郎(大阪大学)
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2009-07-03
柴岡 弘郎
回答日:2009-07-03
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この回答中、「はっきりとした離層をつくらない植物もあります」という記述は間違っています。この問題については、登録番号5843に詳しい解説がありますのでご覧ください。登録番号2622も大変参考になります。
JSPPサイエンスアドバイザー
寺島 一郎・竹能 清俊
追記:2024-05-10
寺島 一郎・竹能 清俊
追記:2024-05-10
回答日:2009-07-03