質問者:
高校生
久女海僚真
登録番号3260
登録日:2015-04-25
春が来て木々にだんだんと新芽が現れ、成長するのを見ていました。みんなのひろば
葉の発芽の仕方について
ふと気づいたのですが、同じ学校の敷地内に生えているケヤキの木は一番上から徐々に下へと葉が茂っていきました。
しかしイチョウの木は全ての枝に新芽が現れてから同じスピードで大きくなっていっています。
或いは、種類が分からなかったのですが一番上と中間程の枝から葉が付き始めてるものもありました。
どの木も比較的日当たりの良い場所に生えているため、日陰にあって生育が悪そうな枝はありませんでした。
同じ木の枝なのに葉が現れる順番に差があるのは、適度な気温、水、空気の他に発芽に必要な条件があるからなのでしょうか?
久女海僚真 さん:
みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
ご質問は森林総合研究所の宮沢真一先生及び篠原健司先生にお答えいただきました。植物は、年齢、おかれた環境ばかりでなく反応にいろいろな個性があるようです。
【宮澤真一先生、篠原健司先生からの回答】
よく観察されているので、大変感心しました。確かに、イチョウの場合、個体の上層につく枝も、下層につく枝もほぼ同じ時期に若葉が現れて、同じような速度で成長するようにみえます。しかし、樹種によっては同じ個体につく枝であっても、枝ごとに若葉が現れる時期(開葉時期)にずれがあります。
枝によって開葉時期に差がつくメカニズムは、まだはっきりとは分かっていません。一般的に、春になって気温が高くなると、冬芽の休眠が解除されて若葉が成長し始めます。冬芽から現れた小さな若葉は、すぐには自分自身で光合成ができませんので、前年枝に貯められた糖を使って成長します。大きな樹木では、同じ個体の中でも明るい場所にある枝、暗い場所にある枝など、枝ごとに光合成によって獲られる糖の量は異なります。枝に貯められた糖の量の違いが、何らかのメカニズムを通し、開葉時期の違いに反映されている可能性は十分に考えられます。
春になって、冬芽から出てくる新しい枝を“シュート”(一本の枝とそれについている葉のひとまとまり)と呼びます。毎年、新しいシュートが親シュートから生まれ(これを娘シュートと呼ぶことがあります)、大きな樹木になります。よく見ると、同じ個体の中でも、毎年生まれる娘シュートには差があり、シュート一本あたりに着く葉の枚数などは数倍の違いがあります。ブナの仲間などでは、娘シュートに着く葉の枚数は冬芽の段階ですでに決まっていることが報告されています。つまり、娘シュートに着く葉の枚数は、前年に親シュートがどのような環境に置かれていたのかが決定していると言えます。一方、カバノキなどのように、冬芽の段階で葉の枚数があらかじめ決まっていない樹種もあります。このように、一見同じような環境にある枝であっても、それぞれの枝が置かれてきた環境の履歴が重要な決定要因になるようです。
もっとたくさんの樹種を観察してみれば、開葉時期が枝ごとに違うことが樹木にとってどのような意味を持つのか、何かヒントが得られるかも知れません。
宮澤 真一(森林総合研究所)、篠原 健司(元森林総合研究所)
みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
ご質問は森林総合研究所の宮沢真一先生及び篠原健司先生にお答えいただきました。植物は、年齢、おかれた環境ばかりでなく反応にいろいろな個性があるようです。
【宮澤真一先生、篠原健司先生からの回答】
よく観察されているので、大変感心しました。確かに、イチョウの場合、個体の上層につく枝も、下層につく枝もほぼ同じ時期に若葉が現れて、同じような速度で成長するようにみえます。しかし、樹種によっては同じ個体につく枝であっても、枝ごとに若葉が現れる時期(開葉時期)にずれがあります。
枝によって開葉時期に差がつくメカニズムは、まだはっきりとは分かっていません。一般的に、春になって気温が高くなると、冬芽の休眠が解除されて若葉が成長し始めます。冬芽から現れた小さな若葉は、すぐには自分自身で光合成ができませんので、前年枝に貯められた糖を使って成長します。大きな樹木では、同じ個体の中でも明るい場所にある枝、暗い場所にある枝など、枝ごとに光合成によって獲られる糖の量は異なります。枝に貯められた糖の量の違いが、何らかのメカニズムを通し、開葉時期の違いに反映されている可能性は十分に考えられます。
春になって、冬芽から出てくる新しい枝を“シュート”(一本の枝とそれについている葉のひとまとまり)と呼びます。毎年、新しいシュートが親シュートから生まれ(これを娘シュートと呼ぶことがあります)、大きな樹木になります。よく見ると、同じ個体の中でも、毎年生まれる娘シュートには差があり、シュート一本あたりに着く葉の枚数などは数倍の違いがあります。ブナの仲間などでは、娘シュートに着く葉の枚数は冬芽の段階ですでに決まっていることが報告されています。つまり、娘シュートに着く葉の枚数は、前年に親シュートがどのような環境に置かれていたのかが決定していると言えます。一方、カバノキなどのように、冬芽の段階で葉の枚数があらかじめ決まっていない樹種もあります。このように、一見同じような環境にある枝であっても、それぞれの枝が置かれてきた環境の履歴が重要な決定要因になるようです。
もっとたくさんの樹種を観察してみれば、開葉時期が枝ごとに違うことが樹木にとってどのような意味を持つのか、何かヒントが得られるかも知れません。
宮澤 真一(森林総合研究所)、篠原 健司(元森林総合研究所)
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2015-05-04
今関 英雅
回答日:2015-05-04