一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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切り花の延命に使用する糖類の分子サイズは吸収率に影響する?

質問者:   自営業   イノウエ
登録番号3261   登録日:2015-04-26
切り花延命剤を使わない切り花延命法(後処理)を調べていたのですが、細菌繁殖を抑える薬剤+水あげ後に砂糖を入れる方法が有効であるケースが多いということがわかりました。

しかし砂糖(ショ糖99%~)と言っても、単糖類のブドウ糖でなければ吸収されにくいという話しを聞きました。二糖類や多糖類と比較してどうなのでしょうか。

別の回答で、植物は多糖類でも吸収できると書いていますが、吸収率は単糖より落ちるのかわかりませんでした。
http://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=1369

二糖類のショ糖は加水分解で単糖類のブドウ糖と果糖になるので、濃度3%の砂糖水と、濃度3%のブドウ糖果糖液糖は同じ効果になるのではと予測しております。

ご回答よろしくお願いいたします。
イノウエ 様

本コーナーをご利用下さりありがとうございます。
ご覧いただいたQ/A(#1369)は葉面からの吸収に関するもので、切り花に与えられる場合には糖類が道管部分を通ってから細胞に供給されることになるので事情は若干異なるかと思います。道管を通った遠距離での輸送と組織・細胞への取り込まれやすさが中心的な問題になると思いますが、他の要素も加わるので、植物の種類によって糖添加の有効性はかなり違って来るのではないかと想像します。一般的に考えて、ショ糖や単糖類の添加で延命効果が期待できますが、分子の大きい多糖類の場合には期待が薄いのではないかと思います。簡単なことですので、予想を実験で確かめてみられることをお勧めします。ショ糖についても濃度を大幅に変化させてみると良いと思います。
なお、登録番号1004と登録番号1772のQ/Aが関連しておりますので、参考になさって下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2015-05-03