質問者:
教員
ぼのぼの
登録番号3266
登録日:2015-05-04
はじめまして。植物が光合成をおこなう際に、二酸化炭素に含まれる炭素の同位体がC12とC13のもので、分別をおこなう、つまり「えり好みをする」ようなことがおこる、ということを聞いて、なぜそのようなことが生じるのかを知りたいと思い、質問させて頂きたいと考えました。特に、同位体分別について
① 大気中のCO2では-7(‰)程度だったものが、気孔に入るだけで数値が低下するのはどうしてなのか。
② 反応が進行する過程でなぜ数値の変動がおこるのか。
③ C3植物とC4植物では分別の程度に差が生じるようですが、それがなぜおこるのか。
ということについて知りたいと思います。ネットなどの手に入る情報を読んでも、今ひとつ理解ができませんので、もしよろしければお教え願えますと助かります。
何卒宜しくお願い致します。
ほのぼの 様
ご質問をありがとうございます。
同位体では、電子軌道上にある電子の数が同じなので化学反応性には差がないと最初に教わります。しかし、質量数には差異があるので、拡散などが含まれるような過程や化学反応の速度において同位体の違いによる差異が生ずる可能性があります。原子炉燃料として使われるウラン235の濃縮などにおいて、この性質の差異が利用されているのはご存知のことと思います。
C12とC13の間での質量差は8%程度で、二酸化炭素(CO2)で計算すると2%程度になるので、気孔から葉緑体への拡散のような動的なプロセスでは質量数の大きいC13の割合が低下することが期待されます。また、実測によるとC3植物とC4植物の植物体では炭素同位体の比率に大きな差異があります(C3植物では-27(‰)程度であるのに対し、C4植物では-11(‰)程度)。鍵となるのは、C3光合成ではリブローズ1,5ビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ(Rubisco)が二酸化炭素固定の反応を触媒するのに対し、C4光合成ではホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼが炭素(炭酸)固定の機能を担う酵素として主に働いていることです。
炭素固定を触媒する両酵素の反応に関連して同位体の「えり好み」の程度に差が生じているようです。
ご質問をありがとうございます。
同位体では、電子軌道上にある電子の数が同じなので化学反応性には差がないと最初に教わります。しかし、質量数には差異があるので、拡散などが含まれるような過程や化学反応の速度において同位体の違いによる差異が生ずる可能性があります。原子炉燃料として使われるウラン235の濃縮などにおいて、この性質の差異が利用されているのはご存知のことと思います。
C12とC13の間での質量差は8%程度で、二酸化炭素(CO2)で計算すると2%程度になるので、気孔から葉緑体への拡散のような動的なプロセスでは質量数の大きいC13の割合が低下することが期待されます。また、実測によるとC3植物とC4植物の植物体では炭素同位体の比率に大きな差異があります(C3植物では-27(‰)程度であるのに対し、C4植物では-11(‰)程度)。鍵となるのは、C3光合成ではリブローズ1,5ビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ(Rubisco)が二酸化炭素固定の反応を触媒するのに対し、C4光合成ではホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼが炭素(炭酸)固定の機能を担う酵素として主に働いていることです。
炭素固定を触媒する両酵素の反応に関連して同位体の「えり好み」の程度に差が生じているようです。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2015-05-06
佐藤 公行
回答日:2015-05-06