一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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カラスノエンドウの実を黒くする色素は?

質問者:   一般   佐倉 想
登録番号3270   登録日:2015-05-06
春が深まり,カラスノエンドウの実が熟してきまて,莢がまっ黒になりましたが,莢が熟すると黒くする色素はなんでしょうか.
カラスの名の由来とも言われているようですので,気になり,質問いたしました.
佐倉 想さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
黒豆やうずら豆の色素はアントシアニンのようですが、カラスノエンドウ(ヤハズノエンドウ)の莢や種皮の色素については明確な研究結果がありませんでした。漢方にも使用されているようでしたので生薬がご専門の千葉大学山崎真己先生にいろいろ伺い、いただいた貴重な情報をもとに私がまとめたものを回答といたします。
植物組織の褐色ないし黒色系の色素にはアントシアニンが多量に蓄積したもの、クロロゲン酸やカテキンなどのポリフェノールが酸化してたんぱく質やアミノ酸などを結合してさらに重合したものなどがありますが、基礎生物学研究所の星野 敦先生の研究によればアサガオ種皮の黒色色素はフィトメラニン(植物性メラニン)であることが示されています。ヤハズノエンドウの莢の褐色-黒色はアントシアニンによるものではなさそうですし、クロロゲン酸などの酸化反応物とも違うようなのでアサガオ種皮と同じようなフィトメラニンではないかと推定されます。フィトメラニンはアントシアニジンが還元、重合してプロアントシアニジンとなり、それがさらに重合して複雑な構造の黒色色素となるものとされています。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2015-05-08
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