一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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同位体分別と水利用効率の関係

質問者:   教員   ぼのぼの
登録番号3272   登録日:2015-05-07
植物の同位体分別について、調べていて疑問に思ったことについてご回答頂けますと助かります。
現在、ウェブを検索し、「光と水と植物のかたち」という書籍(種生物学会編)がある程度、体系的に書かれているようでしたので、購入して読んでいます。その中に、水利用効率と同位体分別との相関関係について書かれています。(p205)
ごく大ざっぱに言って、気孔が開きやすい条件下では同位体分別が進む、なぜならCO2分圧が高くなるとC12を優先的に反応に使えるから。一方、気孔が閉じやすい条件下では同位体分別が進まない、なぜならC13も使わざるを得ないので。したがって、水利用効率が高いときというのは気孔を閉じやすい傾向のある条件なので、分別の程度が低くなる、というように読み取れます。この解釈で正しいのでしょうか。
ご回答を何卒宜しくお願い致します。

ぼのぼの さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
同位体分別は酵素反応と物理的拡散においても起きますが分別率は酵素反応の方が大きくなります。気孔の開度が大きいとき拡散抵抗は小さく光合成反応が盛んなので酵素反応の同位体分別率が有意となり大きくなります。
一方、気孔開度が小さい時には拡散抵抗が大きく、光合成反応が遅くなるので拡散の同位体分別が有意となるため分別率が小さくなります。気孔の開度は水利用効率と直接関係しますので水利用効率と炭素同位体分別とは相関関係があることになります。
二酸化炭素の光合成反応部位(葉緑体)での分圧は気孔が開いているときには盛んな光合成反応のためむしろ低くなると考えられます。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関  英雅
回答日:2015-05-08
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