一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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葉の気孔のしくみにつきまして

質問者:   その他   B級グルメ
登録番号3275   登録日:2015-05-12
いつも大変参考にさせていただいております。
現在農業研修生をしている者ですが、苗の散水に関して以下の情報を参考にさせていただいたところ、
一見矛盾するような回答内容がありました。

登録番号2735:夏場に日中の水やりでお湯になるについて
「葉の表面が濡れているとアブシジン酸が合成されないので、気孔は開いたままになります。」

登録番号3141:気孔から水が浸入することはありますか?
「雨が降って葉が濡れると気孔は閉じることが知られています。」

それぞれ違う環境条件を前提とした回答かもしれませんが、熟読しても理解できませんでしたので、
両質問の解釈の違いについての理由をご回答いただけませんでしょうか?
B級グルメ さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
雨が降ったときに気孔はどうなるのかについて、登録番号27313141とで矛盾した記載があるとのご指摘ありがとうございました。ごもっとものことです。これは登録番号2731
の記載を確認せずに登録番号3141の回答を担当した私の早とちりの結果と思います。古い論文ですが、ヤツデの葉が雨水にぬれると気孔が一時的に閉じるが徐々に開いてくるとの報告があること、またインゲンマメやサツマイモなどの作物に散水したりミスト噴霧したりすると収量が顕著に低下し、その原因は「気孔がふさがれた」結果であるとの推論があることから、雨水にぬれると気孔は閉じるとしました。しかし、この論文を詳しく見ると「気孔が閉じた」とはしていませんでした。雨水で気孔が「ふさがれた」との意味のようでした。
その後の研究では、もっと正確に気孔の開度を測定する装置(葉の表から裏へ気体が通過するし易さを測定)を使い、栽培作物ばかりでなく樹木でも「葉が雨にぬれても気孔は閉じない」とする見解で定着しています。
登録番号3141の回答は一部訂正します。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2015-05-15
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