一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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植物に競争意識?

質問者:   一般   ゆめのすけ
登録番号3280   登録日:2015-05-21
水耕栽培でルッコラ(ロケット)を栽培しているのですが、株同士が近いグループ(葉が当たるくらい)と広いグループ(葉は当たらない)で同じ日に播種した苗の生長がかなり違います。株同士が近いグループの方が生長が良いのです。

私はてっきり株間が広い方が周りに邪魔されず、光を十分に受けられるので沢山生長するものだと思ったのですが逆に生長が悪いです。

これはたまたま植えた苗が生長が悪いものだったのか、もしくは植物にも競争意識のようなものがあって、周りに負けまいと沢山生長するのでしょうか?

よろしくお願いします
ゆめのすけ さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
一般作物では密植栽培、疎植栽培をそれぞれの目的(収量か品質か、栽培が煩雑か容易か、など)に応じて使い分けますが、いずれの栽培方法でも栄養成長に目立つ影響はないようです。ルッコラは比較的成長の速い植物だと思います。発芽後どの生育段階で「株同士が近いグループ(葉が当たるくらい)と広い(葉は当たらない)グループ」に分けられたかによって成長の仕方が違ってくる場合があります。生育が盛んな段階で「仕分け」すると「株同士が近いグループ」はすぐに密植状態となりお互いの葉が重なり合って光を遮るため光量が不足して葉が徒長することになります。成長が良いように見えます。ルッコラで観察されたのはこの結果ではないかと思います。
「植物に競争意識」があるかどうか。少なくとも「意識」とは言えませんが、株同士が近いと根では栄養や水の取り合いがおこりますし、地上部ではお互い光を遮りあいますから光を求めて上へ上へと真っ直ぐに伸びるようになります。植林の場合も苗を密植し、初期成長で主幹が曲がらないよう生育させるため、後に間伐が必要になってきます。違った種同士が近くにあるとお互いに影響することもあります。例えば一方の植物が根から成長阻害物質を分泌して他方の植物の生育を妨げ自分の集団の繁栄を図る場合もあります(アレロパシー)。自己の個体や種の生存、繁栄のために光、水、栄養の取り合いをするばかりでなく、相手を駆逐する戦略を持つなどまさに競争ですね。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関  英雅
回答日:2015-05-22
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