一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

チェックリストに保存

高塩濃度条件での植物の形態変化について

質問者:   大学生   TO
登録番号3290   登録日:2015-06-04
失礼致します。
先日、シロイヌナズナを高塩濃度条件(100 mM NaCl)で生育する機会があったのですが、その際に芽生えの形態が全体的に丸っこくなった個体が見られました。
具体的に特徴を述べると、ほとんどの葉が、葉柄が太く短くなりかつ、肥大し、カールしていました。また、この肥大化した葉はとても固くなっており、圧力を加えると割れてしまいました。このことから、私は高塩濃度に適応するために葉を大きくして、塩をそこに蓄積しているのではないかと考えていました。しかし、友人に訪ねてみたところ「これは他のストレス条件でも見られる現象だから、単純な成長阻害だよ」という答えが返ってきました。ただ、私はいまいち納得しきれていません(植物体全体としては通常条件に比べ小さくなっていますが、単純に小さくなっただけではないように感じます)。

なので、この場をお借りして先生方に質問させていただきます。高塩濃度条件で生育したシロイヌナズナ芽生えにおいて見られたこの変化は単純な成長の阻害で、特に意味のない現象なのでしょうか?また、高塩濃度以外のストレス条件でもこのような変化が観察されるのでしょうか?

自分でもこのことについて調査するために尽力するつもりですが、どうかよろしくお願いします。

TO さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。塩耐性の研究をされている岡山大学の村田芳行先生に伺いました。

【村田先生のお答え】
観察された形態変化は、乾燥やカビや病原菌の感染によっても見ることができます。例えば、水やりをサボる学生の植物や雑に育てる学生の植物などです。 光の条件(強光や24時間照明など)によっても起きます。恐らく、葉の表面が毛羽立ったようになっているのではないでしょうか?
結論として、単純な成長の阻害であるとは言い切れませんが、適当な合目的性も見つかりません。

 村田 芳行(岡山大学農学部)

付記
観察された形態異常がどの位の頻度で起きたのかによって原因も違ってくるはずですので再現性を調べる必要があります。ただの1回だけであれば突然変異の可能性も捨てきれませんので開花、種子形成が起きるのか、種子は不稔かどうか、形態異常が次世代に受け継がれるのかどうかなども調査することをお勧めします。発生の頻度が高いものであれば村田先生も指摘されているように培養条件に原因があるかもしれませんので、条件を変えて検討を繰り返してください。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2015-06-25
植物 Q&A 検索
Facebook注目度ランキング
チェックリスト
前に見たQ&A
入会案内