一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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子葉について

質問者:   一般   野いちご
登録番号3294   登録日:2015-06-09
今日は。私は小さな庭でほんの少しの花と野菜を作っています。播いた種から芽が出始める時が一番心躍る時です。
ところで質問は子葉についてです。
ここ数年シカクマメというものを作っています。葉、茎はインゲンそっくりなのに、発芽を見ていると子葉はエンドウと同じく地上には出てきません。同じマメ科の植物なのに子葉が地上に出るものと出ないものとの違いは何でしょう。
というか植物が子葉を地上に出す、出さないそれぞれのメリットは何でしょうか。
以前に長谷部光泰先生にイチョウの子葉のありかを教えて頂いた時にはビックリ致しました。これからも更に楽しいビックリを経験したいと思っています。
御回答よろしくお願い致します。
野いちご様

みんなのひろばへのご質問ありがとうございました。種子が地面から上に上がるか(地上性)、上がらないか(地下性)でのメリットに関して栽培植物のマメでは人間が世話をするので、分からないと思い、森林中で発芽する植物でどうかと云うことを東大付属日光植物園の舘野正樹先生に伺いましたところ、以下の様なご回答をお寄せ下さいました。私の考えですが、メリット、デメリットは生育場所にもよるのでなかなか難しいと思います。

【舘野先生のご回答】
 ブナ科の種子の場合、コナラ属のように子葉が貯蔵器官としてだけはたらくもの、ブナのように光合成器官としてもはたらくものがあります。子葉にも光合成をさせると効率的に成長できるように思いますが、光合成器官として効率的にはたらくためには、それを薄く広く展開する必要があります。おそらくですが、コナラなどはその貯蔵物質の多くを薄く広い効率的な本葉の展開のために利用しているため、ブナのように結構厚みのある(非効率的な)子葉にも光合成をさせるのとほぼ同じ程度の成長速度は実現できるのではないでしょうか。

 マメ科ですが、地上に出て緑色となる大豆の子葉はかなり厚かったように思います。このような子葉は光合成にはほとんど寄与できないので、地下に留まる子葉よりも成長に有利に作用するということはないように思います。

 あまり決定的なことはいえないのですが、マメ科の子葉は地上にあっても地下にあっても基本的に貯蔵器官としてだけはたらくということのように考えています。

 舘野 正樹(東大付属日光植物園)
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2015-06-12
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