一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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クラミドモナスの液胞膜染色方法

質問者:   大学生   クラミドモナス
登録番号3305   登録日:2015-06-26
私は現在クラミドモナスの液胞膜の解析を行っています。
その中で液胞膜を染めて液胞の数を確認したいと思い、酵母の液胞膜染色でよく用いられているFM4-64染色を行いました。
倒立顕微鏡で観察をしたのですが、何回試しても液胞膜を染める事が出来ませんでした。
そこで私は、クラミドモナスの自家蛍光が強いため酵母のように綺麗に染色できないものと考えました。
しかし、他の染色法のメドが立たず困っている状況です。

そこで質問です。
私の考えは間違っているでしょうか。
また、他の染色法で使える方法はあるでしょうか。

よろしくお願いします。
クラミドモナス様

質問有難うございます。本当はご自分で論文文献を調べて研究を進めて頂きたいのですが、質問内容は多くの方々も知りたい内容である可能性があるため、今回は特別に回答をお願いしました。
クラミドモナスを研究されている福澤秀哉先生(京都大学大学院生命科学研究科)に御回答頂きました。

【福澤先生からのご回答】
我々はまだ液胞の観察をしていないので、文献調査結果について回答させて頂きます。
(1) もし一般的な蛍光顕微鏡を使ってFM4-64による蛍光を観察するときには、Emission側のフィルターの波長が適切かどうか確認して下さい。クロロフィル蛍光を含む波長では検出ができません。同様に、共焦点レーザー顕微鏡の場合にも検出波長の選択が重要です。
(2) クラミドモナスをLysosensor greenで染色し、液胞を観察した論文があるので参考にして下さい。
●Vacuolar granules in Chlamydomonas reinhardtii: polyphosphate and a 70-kDa polypeptide as major components. Planta, 210: 897-905 (2000).
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10872220
●Inhibition of target of rapamycin signaling by rapamycin in the unicellular green alga Chlamydomonas reinhardtii. Plant Physiol. 139: 1736-49 (2005).
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16299168
(3) 下記の論文で、クラミドモナスの細胞膜をFM4-64で染色して観察していますので、参考にして下さい。ただし、液胞については不明です。
Disulphide Bridges of Phospholipase C of Chlamydomonas reinhardtii Modulates Lipid Interaction and Dimer Stability
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3380823/

なお、以上の文献情報は、当研究室の助教である梶川昌孝さんによる検索結果です。

 福澤 秀哉(京都大学大学院生命科学研究科)
JSPP広報委員長
松永 幸大
回答日:2015-07-01