一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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枝豆の鮮度について

質問者:   自営業   くまのみ
登録番号3324   登録日:2015-07-23
枝豆は、
「莢だけの状態で売られているより、枝や葉、根がついた状態で売られているものの方が鮮度が保たれているのでそっちのほうが良い」とよく言われていますが、
枝や葉がついていた方が蒸散量は多くなるので、枝、葉、根つきの方が鮮度劣化は早いのではないのかなと思ったのですが、そうではないのですか?

また仮に枝、葉、根つきの方が鮮度が保たれているとしても、莢だけの物は主にパック詰めされて冷蔵輸送や冷蔵陳列されているので、主に常温管理している枝、葉、根つきとは鮮度にさほど差はないのではないかと感覚的に思ったのですが、科学的には差はあるのでしょうか?

教えてください。よろしくお願いします。
くまのみ 様

ご質問をありがとうございます。この問題は、関係する分野では良く調べられていることのように見えますので、増田亮一博士(作物研究所)専門のお立場からの回答文をお願いしました。ご参考になさって下さい。

【増田博士の回答】
枝豆の鮮度保持は、莢と子実の緑色の外観を保ち、傷などによる褐変を防ぐこと、食味に関与する成分や栄養、機能性成分の低下を抑制する方法です。これに は代謝速度を低速にすることが最も効果的で、凍結しない程度の低温下、暗中 に放置することが第一で、次ぎに嫌気呼吸にならない程度の低酸素 (5~10%)に置くことが第二選択になります。加えて蒸散を防ぐことが望 ましいです。わが国はコールドチェーンが完備されていないのでこれらの鮮度保持技術を組合せて、酸素と二酸化炭素の透過率がある程度抑制される特殊な フィルム袋に入れ(MA包装(modifiyed atomosphere package))て10℃以下に冷やした上で出荷されています。現在広域で流通する枝豆の多くがこの形態ですが、一部に昔からの枝付きを結束しただけの枝豆が見られます。

 増田 亮一(国立研究開発法人-農業・食品産業技術総合研究機構-作物研究所)
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2015-08-06
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