一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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タンポポの花茎について

質問者:   教員   タンポポ
登録番号3325   登録日:2015-07-23
綿毛を飛ばすときに花茎が長くなっていることはわかるのですが、タンポポによって花茎の長さが違いました。周りの草が高いと、それよりも頭一つ分高くなり、周りに高い草がないとあまり高くならないように見えました。このことは、光と関係しているのでしょうか?だとすれば、どの部分で光を受けているのでしょうか?
よろしくお願いします。
タンポポ様

みんなのひろばへのご質問有り難うございました。みんなのひろばのQ & A を集めた「これでナットク!植物の謎」(講談社)にもありますように、タンポポの花茎は花が咲いた後、倒れその後で立ち上がり、綿毛をつけた頭部を持ち上げます。そこで頂いたご質問ですが、花茎が倒れているタンポポで光を感じる部分として考えられるのは、(1)成熟中の果実を含んでいる開花後の花、(2)花茎、(3)葉です。開花時の花は暗くなるとしぼむことから光に感じることが分かります。花茎に横から光を当てると、影側が伸びて光のほうに曲がることから、花茎も光に感じることが分かります。葉ですが、葉同士が重ならないように並んでいる所から、葉も光に感じて位置を変えている、つまり光に感じることが分かります。タンポポでは、花、花茎、葉全ての器官で光を感じることが出来ますが、ご質問の現象を引き起しているのは何処に当たった光なのでしょう。タンポポの花茎の伸びは一般の茎の伸びと同じように、植物ホルモンのオーキシンによっています。このことが、何処に当たった光が効いているのかを考える上での鍵になります。オーキシンは、茎や花茎の上から下へ送られ、下から上には送られません。ですから花茎の伸長に与える光を感じている部分は花茎の上になければなりません。成熟中の果実を含む開花後の花を取り除くと、花茎の伸びが悪くなることから、開花後の花茎の伸長が開花後の花から供給されるオーキシンによっていることが分かります。花茎の伸長に影響を与えている光は開花後の花が受けた光です。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2015-07-25