一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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クロロフィル合成のマンガンはどこからくるのでしょう?

質問者:   一般   ぷぅ
登録番号3326   登録日:2015-07-23
先日、ネギの可食部は「葉」であることを知りました。
白い部分は土をかけているから白いだけで、土をかけなければ、緑になるのだそうですね。
そして疑問が浮かんだのですが、

葉が緑に色づくのは、そこに葉緑素(クロロフィル)があるからですよね。
ということは、ネギの色が緑に変化するということは、そこにクロロフィルが合成されているということだと考えます。
しかしクロロフィルの分子構造には、中心にマンガンが必要ですよね(高校生物の知識です)。
このマンガンは一体どこから来るのでしょう?土壌からですか?植物体内ではマンガンを合成できないですよね。

そしてさらに疑問が広がるのですが、
例えば水耕栽培(土壌からイオンを吸収できない)ができる植物は、葉を緑に茂らせていくものがあるはず。
葉が新しく伸長し、そして緑に色づく際のマンガンは、どこにあったのでしょう?
植物はもともとマンガンを多量に持っているものなのでしょうか?植物体が持つマンガンに限りがあれば、土壌から得ることができない限り、植物が一生のうちに作ることができるクロロフィルも限りがあるのでしょうか。

クロロフィルの合成に関して、マンガンに着目して広く教えて頂ければと思います。
ぷぅ さん

ご質問をありがとうございます。
葉っぱを緑にしているクロロフィルの中心原子であるマグネシウム(Mg)は、当然、植物の生育にとって不可欠な「必須元素」の一つで、土壌環境から供給されます。たとえ水耕栽培の場合であっても、マグネシウムが培養液に含まれていないと植物は正常には生育できません。

念のために説明させていただくと、マグネシウムは元素ですから「核融合」や「核分裂」の反応が起こらない限り合成する(創り出す)ことはできません。また、植物体は通常小さな種子からスタートするので、成長した体を構成している物質のほとんど全ては、代々子孫へと伝達される遺伝子(DNA)を含めて、生育に伴って外部環境から取り入れられる無機化合物(大気中の二酸化炭素の場合を含む)に由来していることになります。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2015-07-24
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