一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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樹幹注入材

質問者:   会社員   moiwayama
登録番号3336   登録日:2015-08-03
近年、街中での農薬散布が難しくなっているため、街路樹につくアブラムシなど害虫の防除に、オルトンラカプセルの樹幹注入を施工します。 カプセルの大きさは、長さ3cm、直径7~8mmです。それを地際から10cm~20cmの高さの位置にドリルで穴を空け打ち込みます。 間隔は約10cmで、大きな木になると10本~20本も打ち込みます。
最近、気づいたのですが、そのカプセルを打ち込まれた街路樹(プラタナス)で、その部分が高さ3cmほどになって円錐状に膨らんでいるのです。それらは10cm間隔に打ってあるので、いぼ状に膨らんだ樹皮が地際で1周しているのです。

カプセルを打ち込まれて形成層が分断された樹木は、それらを修復するために膨らんだと思うのですが、形成層を分断されることが樹木にどのような影響を与え、また、どのようにして形成層を修復していくのでしょうか? ご教授お願いします。



moiwayama さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
枝を切り落とした切り口が、樹皮に沿って環状に膨らんでお椀状になっているのをご覧になったことがあると思います。切られたことが刺激となって傷修復のために形成層及び周辺の柔細胞の細胞分裂が盛んになり癒傷組織ができるためにその部分が膨らんだものです。それと同じことが樹幹に打ち込んだカートリッジ周辺に起きたものと考えられます。ドリルで樹皮を通し辺材に達するまで穴をあけるので形成層が切断され穴周辺の形成層が細胞分裂を開始してカートリッジ周辺が膨らんでくるものです。薬剤を収納しているカートリッジはプラスチック製ですので傷を受けた形成層はさらに物理的圧迫を常に受けている状態ですから二重の外部刺激を受け、細胞分裂もより活発に行われてためでしょう。切断障害を受けなくても圧迫だけでこぶ状に膨らむ例は登録番号0280に解説されています。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2015-08-05
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