一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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花の色が液胞のpHによって変わることを解説した文献

質問者:   一般   miodama
登録番号3347   登録日:2015-08-15
子ども(小学一年生)が朝顔を育てています。
朝青かった花が午後にはピンク(紫)になっていることに気がつきました。
その変化を親子で疑問に思い調べていますが、図書館ではうまく見つけられず、こちらのHPにたどり着きました。

過去の質問とその回答で、花の液胞のph値によって色が変化することはわかりましたが、何かそれが明記されている参考文献はありますでしょうか。

できれば子どもでもわかるような本であれば助かりますが、なければ大人向けの文献でも構いません。

ご教示いただければ幸いです。
miodama様

ご質問どうも有難うございました。
アサガオの研究をしている基礎生物学研究所の星野敦先生にご回答いただきました。

【星野先生のご回答】
アサガオの花の色と液胞のpHについてかかれた参考文献を紹介いたします。ここでは、研究者がかいたものだけをまとめました。

一般書:
・これでナットク!植物の謎(講談社、2007年)
みんなのひろばに寄せられた過去の質問と回答がまとめられた本です。P117のQ35に「紫色のアサガオが、夕方になると赤色に変わるのはなぜ?」という質問があります。

・朝顔百科(誠文堂新光社、2012年)
P25の「アサガオの花色・形・変異原」の紫変異の説明に、pHについて明記されています。

・ぜんぶわかる!アサガオ(ポプラ社、2015年)
P52に、写真と簡単な解説があります。小学生におすすめです。

Webサイト:
・空色西洋アサガオの花色変異の仕組みとは?
アサガオの仲間、ソライロアサガオでの解説です。ソライロアサガオでもアサガオとおなじ仕組みで色が変わると考えられています。
http://www.human.nagoya-u.ac.jp/lab/yoshida/research3.html

・【第3回】色違いの花はどうしてできる? ─アサガオの多彩な花色を決める遺伝子─
植物学会の研究トピックコーナーにアサガオの色についてまとめたものです。図6とその説明を参考にしてください。
http://bsj.or.jp/jpn/general/research/03.php

もとになる学術論文:
・Yoshida, K. et al., (1995) Cause of Blue Petal Color. Nature 373, 291-291.
・Fukada-Tanaka, S. et al., (2000) Colour-enhancing protein in blue petals. Nature 407, 581.
・Yamaguchi, T. et al., (2001) Genes encoding the vacuolar Na+/H+ exchanger and flower coloration. Plant Cell Physiol. 42, 451-461.
これらの論文をもとにして、それぞれの参考文献がかかれています。

アサガオにおけるpHの変化には紫(Purple)という遺伝子がはたらいていて、これが液胞のなかのpH値を上げています。おもしろいことに、ペチュニアでは別の遺伝子が働いていて、アサガオとは逆にpH値を下げています。このため、青味のあるツボミがしだいに赤くなって赤い花が咲きます。大人向けの解説をかいているので、こちらも参考にしてみてください。

Webサイト:
・青から赤へ ~ペチュニアの花色を調節する遺伝子の発見~
http://www.nibb.ac.jp/press/2014/01/28.html

 星野 敦(基礎生物学研究所)
JSPP広報委員長
松永幸大
回答日:2015-08-17
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