一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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マリーゴールドの色素について

質問者:   中学生   ちーちゃん
登録番号3356   登録日:2015-08-26
お盆の間に祖母の家に行った時のことです。、
前回質問させていただいたカランコエのように、
祖母の育てていたマリーゴールドの花弁が黄色く
変色してしまっていました。
マリーゴールドにはアントシアニンが含まれていない
ということが調べてわかったのですが、ではなぜ変色してしまったのでしょうか?
アントシアニンが含まれていない花でも色が変わる場合は
あるのでしょうか?
ちーちゃん様
質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。ちーちゃんの二つの質問はどちらも花の色に関する事柄ですので、ここに一緒にお答えします。最初のカランコエについては、農業・食品産業技術総合研究機構 花き研究所の中山 真義先生に回答をお願いしました。また、二番目のマリーゴールドについては、中山先生のご紹介で同じ研究所の大宮あけみ先生が回答してくださいました。お二人とも質問の内容では情報が不足しているので、はっきりした回答はできないことを了解して欲しいとのことです。したがって、回答を読み、さらに分からない事があったら、もう一度質問して下さいとおっしゃっています。

【中山先生からのご回答】
登録番号3355(カランコエ)への回答
カランコエでは、赤色色素のアントシアニンと、黄色色素である> 他の化合物が同じ花弁に存在することでオレンジ色が発色しているものと考えています。開花後に時間が経つとともにアントシアニンが減少する植物があります。アントシアニンの含量が少ない薄い赤色の場合には、アントシアニンの減少による赤色の退色を、よりはっきりと感じるようになります。
オレンジ色のカランコエについても、もともと少なかったアントシアニンが減少することで、赤色がほとんど認識できなくなってしまい、残った黄色に変化したと感じられたのだと推測しています。

登録番号3356(マリーゴールド)への回答
マリーゴールドについては、どのような状況で黄色くなったのか、お手紙からでは詳しく解らなかったので、今の時点で考えられる可能性についてお答えします。
1.橙色が黄色に変色した場合
マリーゴールドにおける橙色と黄色の発色の違いは、カロテノイドの量によって生じます。カロテノイドの量が多いと橙色を、少ないと黄色を発色します。花弁のカロテノイドの量が何らかの状況の変化で減少したことで、黄色になったのかもしれません。
一般に花弁のカロテノイド量は老化や光/温度条件の変化で大きく変わるものではありません。したがって濃い橙色が黄色に変化することはありません。
ただし橙色が薄い場合はカロテノイド量がわずかに減少しただけで、黄色に見えるようになるかもしれないと推測しています。
私の経験では光が弱いと花弁のカロテノイド量が減少する傾向にあります。

2.アントシアニンによる発色が消失して黄色に変色した場合
マリーゴールドも品種によってはアントシアニンを蓄積し、カロテノイドの黄色と合わさって小豆色を発色します。このアントシアニンの蓄積が何らかの環境の変化で阻害され、黄色になった可能性も考えられます。

 中山 真義(花き研究所)
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2015-09-03
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