一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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シソ科(エゴマ)の種実と葉の関連性について

質問者:   自営業   でくの坊
登録番号3359   登録日:2015-09-02
エゴマを育てています。これまでは実を取るだけでしたが、葉を使ってみようと開花前の勢いのよい時期に葉の収穫をしました。主目的は種実にありますので、一本から10枚程度、
1枝から2枚程度の葉を取りました。ですが、取っているうちに、1本の枝の下に大きな葉があり、葉のすぐ上から枝が出ていて、更に枝の等間隔に葉がでていて、そのすぐ上から穂が出てくる様子が秩序正しく行われています。
 まさに一枚の無駄もなく葉の一枚一枚が、枝、或は花穂に対してそのエンジンの役割を決められていると思われました。
この場合、制限しているとはいえ、葉の収穫は、種実の収穫に大きな影響を与えないかと心配がよぎりました。
 それとも葉は再生してくるものなのかも含め、シソ科植物の種実と葉の関連する役割と、影響について教えて戴きたく質問します。よろしくお願いします。
でくの坊さま

みんなのひろばへのご質問ありがとうございました。栽培中のエゴマを見ながら回答を読んで下さい。

植物の体の中には、自分自身の生長や生命の維持に必要な物質を作ることの出来る葉のような部分と、それが出来ない根のような部分があり、作ることの出来ない部分は出来る部分から、生長や生命維持に必要な物質の供給を受けて生きていますが、作ることが出来て、作ることの出来ない部分に物質を供給している部分をソース、供給を受けている部分をシンクと呼んでいます。ジャガイモを例にとると、地上部がソース、発育中の塊茎(いも)を含む地下部ががシンクで、ソースとシンクと物質の通り道をまとめて、“ソース・シンク単位”と呼んでいます。さてエゴマです。エゴマに限らず植物では、葉(あるいは葉柄)の付け根に腋芽と呼ばれる芽が出来、これが伸びると枝になります。枝には葉が着くこともあれば着かない場合もありますが、多くの場合、先端に花を咲かせ、実を稔らせます。このような場合、茎に着いている葉、枝、枝に着いている葉、花(果実)をまとめた物がソース・シンク単位です。ジャガイモの場合、植物個体全体がソース・シンク単位ですたが、エゴマのような場合、ソース・シンク単位は枝毎に複数に別れています。ソースは茎に着いている葉、枝に着いている葉で、シンクは花や実です。シンクである実の生長はソースである葉に依存していますので、葉を取り除くと言うことは、実の生長に必要な物質の供給を減らすことになりますので、葉を取れば実の発育は低下します。完全にではありませんがソース・シンク単位は各々かなり独立しているので、ソース・シンンク単位の中の葉を取った影響は深刻です。実が発育中のソース・シンク単位の中での葉の再生はありませんので、繰り返しになりますが、葉をとることの影響大きいです。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2015-09-05
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