一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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植物の乾燥重量

質問者:   その他   石川
登録番号3367   登録日:2015-09-11
植物のバイオマスについて調査研究を検討し、一定区画の植物の乾燥重量を求めること考えております。以前のQ&Aで同様の質問(大学院生 ひでのり:登録番号1351、登録日2007-07-24)に対して「摂氏80度から90度の乾燥器内に10時間から12時間放置して水分をのぞき、常温に戻して重量を測定」と回答されておりますが、この正式な方法について、文献、書籍等があれば教えてください。報告書等に記載できる公定法的な条件を知りたいのです。
石川 さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
植物の乾燥重量測定に関して「公定法的な条件」というものはないと思います。少なくとも私が調べた範囲では、どの乾燥対象物にも「適用すべき条件」を示すものはありません。乾燥重量とは対象物をある乾燥条件に置いたときに重量減少が無くなった時の重量との共通認識があります。乾燥条件は様々です。常温通風、加温通風、常温減圧などなど対象物の形状、種類、求める精度などによって調査者が最善と思うものを用いています。高精度を求める場合には、対象植物は採取後も呼吸をしていますので常に重量が減少しつつあります。そこでまず組織を殺すために100℃で一定時間処理後、80~90℃で重量減少が無くなるまで加熱乾燥、冷却時に空気中の湿度吸収を防ぐために直ちにデシケータに入れ常温に冷ましたのち、重量測定をする、といった処置もします。木材の乾燥重量を求めるには、長時間の常温(あるいは50℃程度の低温)風乾することもあります。文部科学省出版の日本食品標準成分表では共通の乾燥方法を特定していませんが、農水省の「各種バイオマス成分のデータベース整備」事業では105℃、24時間と定めています。おそらく、石川さんの求めておられるものだと思われます。以下をご参照ください。
http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/files/203-7.pdf
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2015-09-14