一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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黒豆茶について

質問者:   会社員   tenten
登録番号3373   登録日:2015-09-22
黒豆の黒い部分に含まれる成分を摂取するものだと思うのですが、黒い部分に含まれる成分はお湯でも出るのですか。
tentenさん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
簡単なようでお答えするのが大変難しいご質問です。生薬がご専門の千葉大学 山崎真巳先生のお知恵をかりながら調べた結果に基づいてお答えします。
黒豆の色素は種皮に含まれるアントシアニン(シアニジン-3-グルコシド)が主なものですが、黒色色素のすべてがアントシアンかどうかは分かりません。種皮にはその他、着色成分ではありませんがプロアントシアニジン(アントシアニジンの重合体)、カテキンなどがかなりの量含まれています。アントシアニンを含めこれらのポリフェノール成分が健康に良いものとされています。
アントシアニン、カテキンはともに単体では水溶性ですから「黒豆茶」に溶けだしていることは間違いないと思います。しかし、黒豆茶に熱湯を加えただけで、どれだけの量が溶けだすかはほとんど記載がなくわかりません。色素アントシアニンが黒豆の種皮にどのような形であるのかが問題だと思います。食品としての黒豆の種皮の細胞は乾燥過程で死んでおり含まれる水溶性成分も変性したたんぱく質や、他の酸化しやすいポリフェノール(カテキンなど)の酸化重合物に巻き込まれて簡単には水に溶けにくい状態になっている可能性があります。その証拠に、豆自体には黒く色素が残っているはずです。
黒豆茶は黒豆を種皮が裂けるほどに長時間高温で加熱乾燥したものですから水溶性成分といえどもどのような形になっているかわかりません。お茶が茶色になって香りもあるでしょうから、いろいろな成分が溶け出してはいるはずです。
ということで、ご質問の「黒い部分に含まれる成分はお湯でも出るのですか」に対しては「はい」と言えなくもないし「どうかな」と思う部分が残るところです。色も香りもなくなるくらいまで何度も熱湯を注いだ後の豆の色はどんなでしょうかね。何とも歯切れの悪いお答えになってしまって申し訳ありません。

山崎真巳(千葉大学大学院薬学研究院)
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2015-09-24
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