一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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ムラサキツユクサ原形質流動について

質問者:   教員   佐藤政雄
登録番号3376   登録日:2015-10-04
ムラサキツユクサ原形質流動を顕微鏡で観察すると、小さな顆粒が動くのが見えますが、これは何でしょうか。
佐藤政雄さま

みんなのひろばへのご質問有り難うございました。まず確認しておきますが、“ムラサキツユクサ原形質流動”とありますが、“ムラサキツユクサの雄しべの毛の細胞の原形質流動”ですよね。ムラサキツユクサの雄しべの毛の細胞では発達した液胞の中を細い原形質の糸(原形質糸)が走っており、その原形質糸が流動しています。登録番号0087や登録番号1542にありますように、原形質流動の担い手は原形質糸の中に伸びているアクチン繊維の束と、アクチン繊維の束の上を滑って進んでいるミオシンですが、ミオシンは顕微鏡では見えません。見えているのはアクチン繊維とミオシンが作った流れに乗って流れている、ゴルジ体やミトコンドリアなどの細胞内小器官です。川に浮かんだペットボトルが川の流れによって流されているのを見ている様な感じです。ゴルジ体は動物細胞で発見されましたが、植物細胞のゴルジ体は動物細胞のゴルジ体に較べて小さく、光学顕微鏡ではその存在が確認出来なかったことから、長い間、植物にはゴルジ体は存在しないのではないかと思われていました。このことが示すように、ムラサキツユクサの雄しべの毛の細胞のゴルジ体は、光学顕微鏡では見えません。流動に乗って動いているのが光学顕微鏡で認められるのはミトコンドリアです。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2015-10-10