一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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高校教科書での気孔開閉におけるサイトカイニンの記載

質問者:   教員   明星亜理沙
登録番号3378   登録日:2015-10-12
高校教員です。

旧課程の教科書では「サイトカイニンには気孔を開くはたらきがある」とありましたが、新課程(H25年度以降実施)の複数の教科書からはこの記載が消えていることに気づきました。

新課程での記載を見ると、気孔開放の主メカニズムは青色光および光受容体であるフォトトロピンとのことですが、サイトカイニンは関与していないのでしょうか?

「サイトカイニンには気孔を開くはたらきがある」という記載を教科書から削除することになった経緯や理由について、お答えいただけると幸いです。

よろしくお願いします。
明星亜理沙様

質問コーナーへようこそ。歓迎致します。気孔の開閉にはいくつかのホルモンが関与している事はよく知られた事実です。特にアブシシン酸(ABA)は閉孔を誘導します。また、ジャスモン酸(JA)の同様です。これに対しオーキシンとサイトカイニン(CK)はABAの閉孔作用を抑えるように働きます。従って結果的に開孔促進的な作用を示す事になります。ここではホルモンの気孔の開閉に関わる調節機構については説明致しませんが、これらのホルモンの詳しい作用機構については現在も研究がすすめられています。
高校の教科書からこのCKの作用の記載が削除されたと言う事ですが、教科書の指導要綱に基づくことではないと思います。指導要綱の範囲内で教科書に何を記載するかは、執筆者の考えによります。ご存知の様に教科書のページ数は限られていますので、その中へ出来るだけ多くの,又新しい事をもり込むために執筆者は苦労します。従って、新しい教科書では他のもっと大切と思われる事を記載する為に、CKのこの作用は記載する程でもないと判断されて削除されたのでしょう。先生のための授業用資料には記載されているのかもしれません。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2015-10-12
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