一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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金木犀の香り方

質問者:   一般   zumi
登録番号3380   登録日:2015-10-16
引っ越してきた近所には、金木犀の並木があり、リビングの窓を開けると心地よい香りがただよってきます。
ですが、木のところまで行くと香りはせず、お花や葉を触っても香りません。
金木犀の香りはどんな時(条件)にどんなふうに香りを発するのですか?また香りの精神的効果はありますか?
成分などとの関係にも興味があります。
zumiさん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
キンモクセイの花はおおよそ9月下旬から10月中旬くらいまで咲いて、かなり強い香りを漂わせますね。香りは花から出される揮発性のモノテルペン類が主なもので広島大学の研究者が分析した結果、γデカラクトン、リナロール、リナロールオキシド、βイオノン、αイオノンなどが主な香り成分で、キンモクセイの特徴ある香りはγデカラクトンがあることのようです。花の香気成分は花弁で合成され、開花と同時い合成が高まるのが一般的のようです。香り成分自体が揮発性ですので合成されれば揮発、発散し近くに香りが漂うことになります。木や花の近くでも当然香りを感ずるはずですが、ご質問にある「木のところまで行くと香りはせず、お花や葉を触っても香りません」ということについては分かりません。
香りを出す花は送粉昆虫の行動と関連する場合があり、夜行性の昆虫が送粉者であれば夕方から開花し香りを出すことが知られています。しかし、キンモクセイの香りは開花後しばらく香りつづけ時間的に揮発発散の変動があるかどうか調べた結果を見つけられませんでした。キンモクセイの花の香りには送粉昆虫を誘引する働きは無いようで、むしろ香気成分のγデカラクトンは蝶の吸蜜行動を阻害することが、前記の広島大学の先生方によって明らかにされています。香りの精神的効果については専門外ですのでわかりませんがアロマテラピーという療法があるので何らかの効果はあるのでしょう。
このコーナーにも花の香りに関するものがいくつかあります。登録番号1070, 1691, 1947, 2226, 3268などをご参照ください。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関  英雅
回答日:2015-10-20