一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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植物の進化について

質問者:   大学生   はっする
登録番号3382   登録日:2015-10-20
この前大学の構内で初めてシダ植物をみました。本当に胞子がついていてびっくりしました。そこで中学の知識でコケ植物からシダ植物になって裸子植物、被子植物に移り変わっていったことを思い出しました。でもなんでコケからシダになったのだろうと疑問を持つようになりました。
コケには雄株、雌株と性別が分かれているのにシダ植物には前葉体で繁殖させる。そして維管束ができる。維管束に関しては想像できますが、性別をなくすことに何か利益があるのかというと何も思い浮かんできません。そのあとの裸子植物にはおしべ、めしべがあるのにもかかわらず…
いったいどうして性別をなくすように進化したのでしょうか。
はっする様

みんなのひろばへのご質問ありがとうございました。頂いたご質問の回答を岡崎基礎生物研究所の長谷部光泰先生にお願いしました。先生は韓国に出張でしたが、韓国から回答をお寄せ下さいました。しっかり勉強して下さい。

追伸:最初にご覧になったシダはどんなシダだったのでしょうか。どんなシダでも春先の若芽はとても奇麗です。いろいろと観察(鑑賞)して下さい。

【長谷部先生からのご回答】
はっするさんが勉強した頃とくらべ陸上植物の進化はずいぶんいろいろなことがわかってきています。まず、陸上植物の最初の祖先はコケ植物でもシダ植物でもない二又に分かれる枝だけを持つ植物だったと考えられています。この祖先は水を輸送する組織を持っていて、それがコケ植物とシダ植物に受け継がれました。雌雄性ですが、教科書ではスギゴケとゼニゴケの例が出ていることが多いのでコケ植物は配偶体が雌雄に分かれていると思うかも知れませんが、同じ配偶体に造卵器と造精器を作る雌雄同株のものもたくさんあります。ですから、コケ植物もシダ植物も雌雄同株と雌雄異株の配偶体を作る種があります。雌雄同株のメリットは1つの胞子由来の配偶体でも受精ができて胞子体を作れることです。一方、デメリットは1つの配偶体にできた精子と卵が受精すると、完全にホモの胞子体ができてしまって近親交配の悪影響がでる場合があります。デメリットを回避するために、同じ配偶体で精子と卵のできる時期が異なっているものがほとんどです。ですから、雌雄同株といってもできるだけ同じ株の中で受精がおこらないようにしています。

 長谷部 光泰(基礎生物研究所)
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2015-10-22
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