一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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草花の「キク」の幼若性について

質問者:   教員   SA
登録番号3387   登録日:2015-11-06
草花の「キク」の幼若性についての質問です。
花きの発育相で、休眠相や幼若相、花熟相があったのですが、
秋ギクや夏ギクでは幼若相が短く、夏秋ギクでは幼若相が長い傾向がある、と農文協「草花」の教科書に記述がしてあったのですが、
なぜ、「秋ギクや夏ギクでは幼若相が短く、夏秋ギクでは幼若相が長い」のでしょうか。原種の違いでしょうか?幼若相のメカニズムはあまり解明されていないと聞きましたが、現段階でも謎の多い領域なのでしょうか?

ご教示いただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
SAさま

みんなのひろばへのご質問ありがとうございました。頂いたご質問の中の「休眠相」「幼若相」「花熟相」また「幼若性」という言葉は今までに使ったことがありません。「植物用語事典」(八坂書房)を調べたのですが、そこにもにも出ていません。「お答え出来ません。」が、正直なところですが、折角、質問して頂いたのにそれでは申し訳ないので、キクの花芽形成に関係の有りそうなことを述べてみます。全くピント外れとお考えでしたら、無視して下さい。キクは短日植物で、日が長い(明期が長い)間は花を咲かせず、日が短くなり、夜が長くなって(暗期が長くなって)初めて花を咲かせます。キクと同じ短日植物のダイズで、発芽の時期と発芽から開花までの日数との関係を調べた研究があります。その結果によると、日が短い9月から翌年の3月までに発芽したダイズの、発芽から開花までの日数は30日足らずなのに、日が長くなった4月に発芽したダイズでは、発芽から開花まで150日もかかっています。日が短い(暗期が長い)季節に発芽したダイズでは発芽から開花までが短いが、日が長くなって(暗期が短くなって)から発芽したダイズでは発芽から開花までが長いのです。キクもダイズと同じ短日植物なので、春早くから生育を始めたキクは生育開始から開花までが長く、秋近くなって生育を始めたキクは生育開始から開花までが短いのです。ご質問の秋ギク、夏ギク、夏秋ギクの「幼若相」とやらの長さの違いはこのあたりにあるのではないかと思いますが、如何でしょう。どのくらい暗期が長くなれば開花するかは品種によって違いますので、品種により生長開始から開花までの日数も変わってくると思います。人工照明で暗期の長さを変え、キクの開花時期をコントロールしていることはご存知と思いますが、人工照明によって生長開始から開花までの長さをコントロールしているのです。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2015-11-09
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