一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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植栽の散水の水質について

質問者:   会社員   松崎広美
登録番号0034   登録日:2004-02-27
はじめて質問させて頂きます。

貯水槽などにたまった雨水を植栽散水に利用しようとする場合、貯水槽のコンクリートからアルカリ成分が溶け出して水質がアルカリ性になってしまうと考えられるのですが、植栽に与える影響はあるのでしょうか?

一般的に植物が耐えうるphの適性範囲はいくつからいくつくらいなのでしょう?

また、ph値が高すぎ、あるいは低すぎる場合の対応策として何かあれば教えて頂きたいのですが。

よろしくお願いいたします。

松崎 広美さま

 岡山大学資源生物科学研究所の山本洋子先生にお答えをいただきました。

広報委員
三村 徹郎(奈良女子大学)

 通常、雨水は弱酸性であり、さらに近年、pHが5以下の強酸性の雨が降るようになった関係で、酸性化を心配する事が多い状況です。ご心配の貯水槽につきましても、まずは、実際にたまっている雨水のpHがどのくらいなのか、調べられるのが良いと思います。なお、精度良くpHを調べるためには、pHメーターが必要ですが、大学や研究機関であればどこにでも有り、また簡単な測定ですので、お近くの機関に測定を相談されたらいかがでしょうか。

 植物は、一般に、pH5から7の範囲を好みますが、耐えられるpHは植物の種類によって大きく異なります。なお、pHの植物への影響を考えるとき、葉や花などの地上部と根を考えねばなりませんが、特に根は重要で、根が死んでしまうと地上部も枯れてしまうことから、私達は、根への影響を最も危惧しています。根は土の中で生育しており、従って、土のpHが重要になりますが、幸い、土には緩衝作用があって、酸性の雨水が降っても、土のpHは大きくは変動しません。

 土壌のpHが低いときは、石灰資材で中和するのが普通です。高いpHを下げるには、改良資材が有るそうですので、園芸店などにお聞きください。
なお、参考書として、「土壌診断の方法と活用」(藤原俊六郎・安西徹朗・加藤哲朗著)が農文協から出ています。

以上、お役に立てれば幸いです。
岡山大学
 山本 洋子
回答日:2006-10-20