一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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根の働きについて

質問者:   会社員   モタ
登録番号3401   登録日:2015-11-30
お世話になります。
早速ですが、切り花では水にバクテリアが増えるとそれが、導管に詰まって水が上がらなくなるといいますが、植物の根では地中にあるバクテリアで同様のことは起こらないのでしょうか。バクテリアが詰まらないとすると、それはどのような仕組みで詰まらなくなっているのでしょうか。
モタ様

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。関連する質問は過去にもなされていますので、既にお読みになったかもしれませんが、念のため登録番号を上げておきます(登録番号1613, 2163など)。
切り花では茎や花茎の下部を切断していますので、当然その部分の細胞や組織は壊れています。言ってみれ道管は直接外部の水に曝されているわけです。したがって、水が汚れていたり、酸素不足になっていたりするとバクテリアは繁殖しやすく、これらのバクテリアは水といっしょに道管に吸い上げられていきます。また、切り口の壊れた細胞・組織が栄養となって、その付近ではバクテリアの繁殖はすすみ、入口付近でもバクテリアの壁が出来てしまうかもしれません。他方、根では細胞は生きており、土壌にどっぷりはまっているとしても、表皮等で覆われていて外部とは遮断されています。植物根はいわばクローズドシステムのようなものです。根からの吸水は主として根毛細胞から行われますが、吸収された水が根の道管に入るまでにはフィルターのような場所をとおったりして、すんなりとはおこなわれません。従って,土壌バクテリアが道管に紛れ込む事は通常は考えられません。根に傷がついたり、病気になったりしてバクテリアが内部に入る事はあるようです。場合によっては根の道管が詰まる事もあります。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2015-12-02
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