一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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柿渋タンニンの不溶化実験

質問者:   自営業   はかせ
登録番号3403   登録日:2015-12-03
南相馬サイエンスラボの齋藤です。こどもたちとその保護者に科学や農業などを教えています。初めてのことに次々と挑戦しています。今年の秋は干し柿作りに挑戦しています。昔ながらの手法ではあるのですが、渋柿が甘くないと思っている人や、渋が何かの仕組みで甘みに変化すると思っている人など、渋抜きに関して知らない人が多い様です。そこで、タンニンとアセトアルデヒドとの縮合反応をinvitroで再現する方法がないかと考えています。渋柿をすり下ろし、そこにアセトアルデヒドを加えて混ぜると沈殿が生じて上清は甘い、そのような形の実験ができませんでしょうか。
はかせ さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
子供たちを含め一般の方々に科学や農業を広められているとのこと大変喜ばしいご活動と思います。私はご質問にある推定は正しいとは思いますが、自分で試したことはありませんし、他の人が試したとの話も聞いたことがありませんので、どのようにしたら期待する結果が得られるかどうか判りません。しかし、キッチン設備程度で簡単にできることですので、まずご自分がいろいろな条件で実験され、推定が正しいかどうか体験されたらいかがでしょうか。子供たちに与えるインパクトは全く違うものとなるでしょう。
実験をするときや結果を考察するときあらかじめ考慮しなければならないことがいくつかあります。渋柿の渋は可溶性のタンニンですが細胞を破壊(磨り潰す)すると他の細胞成分と混ざり合います。いろんな酵素、たんぱく質もありますし、酸素との接触も多くなります。タンニンはポリフェノールの一種ですから容易に酸化(酵素による酸化、自動的―非酵素的―酸化)されやすいし、たんぱく質と結合もします。また、果実の渋抜きをするときは方法の如何を問わず少なくとも十数時間以上をかけています。生きている細胞内の反応と磨り潰した組織液内の反応とは異なるのが普通です。細胞内のタンニンの所在、タンニンの化学的性質、酵素反応の特性などを頭において実験をされればよい条件が見つかると思います。実験過程で起こる新たな疑問などについてはこのコーナーがお役に立てると思います。
頑張って実験をしてみてください。私も是非結果を知りたいと思います。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2015-12-04
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