一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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サンゴアブラギリの種について

質問者:   会社員   tenten
登録番号3407   登録日:2015-12-18
11月ごろまで屋外で育てていたサンゴアブラギリが実を付け、種がはじけていました。今は室内に入れています。
実の外身は5つに割れて遠くに飛ばされ、中身も近くにはありません。サンゴアブラギリの種がどんなものか教えてください。
ちなみに、3メートル程遠くに、コーヒー豆のような形の茶色い物が転がっていました。でもこれがその種なのか、それとも外身に付いている皮のようなところに埋まっているのか、よくわかりません。
サンゴアブラギリは種をそんなに遠くへ飛ばす性質があるものですか。
tenten様

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。まず お尋ねの種子のことは、丁度よい写真を見つけましたので、こちらをご覧ください。
http://jspp.org/media/images/hiroba/qa/jatropha_seed.png

サンゴアブラギリの種子
回答はそれで終わりですが、ついでにサンゴアブラギリのことについて、ちょっと説明を加えておきます。サンゴアブラギリは学名がJatropha podagria といい、トウダイグサ科、ナンヨウアブラギリ属(ヤトロファ)の仲間です。ご存知でしょうが、海外でもオーナメンタル・プラントとして観賞用に栽培され, ブッダ・ベリーとかその幹の形状からボトル・プラントなどよ呼ばれています。花はチョウチョウが沢山来ることでよく知られています。この種子は写真からも分かる様に比較的大きく長径1cm強もあります。色は褐色系です。しかし、果実が熟すると果皮が破裂して勢いよく中の種子が四方へはじき出されます。数mは飛散する様です。従って地面に落ちた褐色の種子を探すのは大変でしょう。拾われた種子は多分目的の種子だと思います。種子を効率よく採取するには、果実が未だ緑の内にビニールの袋か細かいメッシュの網袋を全体に被せておけば良いでしょう。果実が褐色なりはじめたら、種子が何時はじき出るかは予想が難しいでしょう。
この植物のように種子を機械的に遠くへはじき出す植物はいくつかあります。これは植物が繁殖の範囲を広げる為の手段の一つだとかんがえられています。
なお。ヤトロファ属(ナンヨウアブラギ属)の仲間のナンヨウアブラギリ(Jatropha cursus)は種子には35%以上の上質の油が含まれているため、バイオディーゼルとして世界で注目されて、栽培されています。また、ヤトロファには有毒成分も含まれており、特に種子に多いようです。最も毒性の強いのは、猛毒のリシンに似たクルシン(curcin) と言う化合物です。種子は食べない様にして下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2015-12-19
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