質問者:
公務員
柿大好き
登録番号3411
登録日:2015-12-25
料理に関することになるので本サイトの主旨からはずれるかもしれませんがよろしくお願いします。みんなのひろば
柿と牛乳を混ぜた際の凝固作用における品種間差について
以前、柿(400g)と牛乳(250g)を混ぜ合わせ、柿プリンを作りました。
その際、富有柿(甘柿)を用いて作った場合にはプリン状に凝固させることができました。また、二酸化炭素で渋を抜いた平核無(渋柿)に牛乳と混ぜた場合はプリンの状態を保てるまで凝固しませんでしたが、渋抜き前の柿だと凝固しました。そこで渋を抜いた平核無が上手く凝固しなかった理由を考えています。
柿と牛乳を混ぜたときに凝固するのは、柿のペクチンと牛乳のカルシウムとが結合してゲル化(凝固)すると認識しています。その他にも、柿のタンニンと牛乳のタンパク質が結合すると凝固するとも聞いたのですが、凝固するものなのでしょうか?(ここで言う凝固とは柿がプリンのような状態と想定しています)
柿のタンニンが凝固作用に影響しているとすると、渋抜き後の平核無が凝固しなかったのは、タンニンが不溶化しタンパク質と結合できなかったからという可能性も考えています。(ただそうすると富有柿も生育過程でタンニンが不溶化しているわけですが・・)
また他にも以下のことを考えてみました。
・そもそも単純に果実の個体差によるものだった
・品種や甘渋柿の違いによるペクチン量または、タンニン量の差
・使用した果実の熟度の問題(果実が熟す程水溶性であるペクチン量が増えると聞きました)
・脱渋によりペクチンが変質し牛乳と結合できなかった
ネットや本で調べましたが回答を見つけることができませんでしたので、質問させて頂きます。ご回答よろしくお願いします。
柿大好き様
質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。年末年始の為回答が遅くなりごめんなさい。ご質問の内容は植物の問題というよりは食物栄養学あるいはあるとすれば調理学に関係する事ですので、的確な回答になるかどうか分かりませんが、私が理解するところを述べます。
柿プリンは一時流行ったように記憶しています。私も作った事があります。富有柿を用いましたが、その時の経験ではかなり熟度がすすんで軟らか過ぎるカキでは腰のあるプリンが出来なかった様に記憶しています。柿とミルクとをミックスした場合何が固まる(ゲル化する)のかが問題です。もし柿のペクチンがCaで固まるのであれば、ペクチンを含む素材ならばカキで無くても良いはずです。ということで、フルーチェという商品が出ている事はご存知だと思います。色々な果物とフルーチェでプリンができるとして、売られています。ペクチンは植物の細胞壁の構成要素ですので、植物の何処の部分をとってもペクチンは存在します。しかし、ペクチンは分子のサイズだけでなく、メチル化が高いもの、低いものなど様々です。ペクチンはCaと結合してゲル化しますが、し易いのはメチル化が低いペクチンです。だから、フルーチェを使ってもメチル化の高いペクチンを含む果実ではプリンが出来難いです。カキにはどちらのタイプのペクチンが多く含まれているのかは知りません。また、果実にはペクチン含量が多い物と低い物があり、カキは後者です。ジャムはペクチンが糖等の存在下で加熱されるとゲル化してできるものです。ペクチン含量の少ないカキではジャムはペクチンを加えてやらない限りジャムできません。私は余った柿からジャムを作りますが、ペクチン含量の高い果物を混ぜるか、市販のペクチンを加えてゲル化しています。
そこで、ご質問のタンニンとゲル化の関係ですが、確かにタンニンはタンパク質と結合して複合体をつくり沈殿(凝固)を起こさせますが、ゲル化ではありません。
タンニンはタンパク質以外にもデンプンとかセルロースなどの高分子物質と複合体を作りますが、タンパク質が一番よく結びつきます。タンニンの定義はむつかしいのですが、Horvath(1981)によれば、「タンニンとは充分に高分子量のフェノール化合物で、充分な水酸基(-OH基)や他の適当な基(例えばカルボキシル基:-COOH)をもっていて、特定の条件下でタンパク質や他の高分子との間でしっかりとした強固な複合体を形成する物質」ということです。牛乳のタンパク質の大部分はかゼインですので、牛乳を柿と混ぜると固まる事はあってもよいような気がします。しかし、この複合体はゲルではないので、その複合体故にプリンようの物ができるとは思えないような気がします。試しに、タンニンが多量に含まれる植物、例えば、アカシア、カシ、クリの実に渋皮、カエデ、シロツメクサ、ヤナギ、マツなど、どの部分でもよいですから、これらをすり潰して牛乳と混ぜ合わせてみてはどうですか。
結論としてプリンができるのはやはり、ペクチンとCaによるものだと考えてよいと思います。もちろん、タンニンの関与が全くないとはいいきれませんが。
それにゲル化が効率よく起きるには ペクチンのサイズ、メチル化の程度、pH, 温度、他の化合物の混在などなど色々な要因が影響するでしょう。
質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。年末年始の為回答が遅くなりごめんなさい。ご質問の内容は植物の問題というよりは食物栄養学あるいはあるとすれば調理学に関係する事ですので、的確な回答になるかどうか分かりませんが、私が理解するところを述べます。
柿プリンは一時流行ったように記憶しています。私も作った事があります。富有柿を用いましたが、その時の経験ではかなり熟度がすすんで軟らか過ぎるカキでは腰のあるプリンが出来なかった様に記憶しています。柿とミルクとをミックスした場合何が固まる(ゲル化する)のかが問題です。もし柿のペクチンがCaで固まるのであれば、ペクチンを含む素材ならばカキで無くても良いはずです。ということで、フルーチェという商品が出ている事はご存知だと思います。色々な果物とフルーチェでプリンができるとして、売られています。ペクチンは植物の細胞壁の構成要素ですので、植物の何処の部分をとってもペクチンは存在します。しかし、ペクチンは分子のサイズだけでなく、メチル化が高いもの、低いものなど様々です。ペクチンはCaと結合してゲル化しますが、し易いのはメチル化が低いペクチンです。だから、フルーチェを使ってもメチル化の高いペクチンを含む果実ではプリンが出来難いです。カキにはどちらのタイプのペクチンが多く含まれているのかは知りません。また、果実にはペクチン含量が多い物と低い物があり、カキは後者です。ジャムはペクチンが糖等の存在下で加熱されるとゲル化してできるものです。ペクチン含量の少ないカキではジャムはペクチンを加えてやらない限りジャムできません。私は余った柿からジャムを作りますが、ペクチン含量の高い果物を混ぜるか、市販のペクチンを加えてゲル化しています。
そこで、ご質問のタンニンとゲル化の関係ですが、確かにタンニンはタンパク質と結合して複合体をつくり沈殿(凝固)を起こさせますが、ゲル化ではありません。
タンニンはタンパク質以外にもデンプンとかセルロースなどの高分子物質と複合体を作りますが、タンパク質が一番よく結びつきます。タンニンの定義はむつかしいのですが、Horvath(1981)によれば、「タンニンとは充分に高分子量のフェノール化合物で、充分な水酸基(-OH基)や他の適当な基(例えばカルボキシル基:-COOH)をもっていて、特定の条件下でタンパク質や他の高分子との間でしっかりとした強固な複合体を形成する物質」ということです。牛乳のタンパク質の大部分はかゼインですので、牛乳を柿と混ぜると固まる事はあってもよいような気がします。しかし、この複合体はゲルではないので、その複合体故にプリンようの物ができるとは思えないような気がします。試しに、タンニンが多量に含まれる植物、例えば、アカシア、カシ、クリの実に渋皮、カエデ、シロツメクサ、ヤナギ、マツなど、どの部分でもよいですから、これらをすり潰して牛乳と混ぜ合わせてみてはどうですか。
結論としてプリンができるのはやはり、ペクチンとCaによるものだと考えてよいと思います。もちろん、タンニンの関与が全くないとはいいきれませんが。
それにゲル化が効率よく起きるには ペクチンのサイズ、メチル化の程度、pH, 温度、他の化合物の混在などなど色々な要因が影響するでしょう。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2016-01-05
勝見 允行
回答日:2016-01-05