一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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フルーツの容器

質問者:   会社員   えいこ
登録番号3445   登録日:2016-03-15
スーパー等で販売されている果物類はほとんどが密封されておらず、苺などは透明のトレーに入り、上からフィルムがかけられている程度です。その包装が採用されているのはなぜでしょうか。密封した方が外からのカビ胞子等の混入を防ぐことができて良いのではないかと考えています。果物の呼吸等、品質にかかわる何かがあるのでしょうか。
よろしくお願い致します。
えいこ さん:

みんなの広場のご利用ありがとうございます。
包装は多くの目的をもっているようです。単に装飾的なものから包装物を守る目的まであります。ご質問は果物類についてですが、果物類はむしろ包装されていないが多いように思います。リンゴ、ナシ、ミカンなどかなり丈夫な果物は一個売りかネット入れられています。ネット入りは適量にまとめて買いやすいような工夫ではないでしょうか。しかし、イチゴ、イチジク、サクランボなど比較的小型で、直接手などで触れると傷みやすいものは適当なサイズのプラスチックトレイなどに入れてフィルムで覆っています。このとき、中身が見えるように透明なトレー、フィルムを使って購買者の判断を助けています。葉物野菜も適量を透明なフィルム袋に入れています。透明なフィルムを使って中身が見えるということはかなり重要な点です。
新鮮な果実、蔬菜類をフィルムで覆ったり、袋に入れたりして密封すると新たな問題が起きます。野菜、果物は生きていますから呼吸をしています。密封されると内部の酸素が減り、二酸化炭素が増加します。この状態が常温で続くと新鮮さが失われます。また、多くの植物は微量ですが植物組織の老化を促進するエチレンを生成、放出しており密閉包装が続くと新鮮さが急激に失われることになります。これらを避けるためほとんどの野菜包装袋には穴(目に見える大きな穴や肉眼では判別できない小さな穴)が開いていて外気を取り入れられると同時に水蒸気を通しにくいフィルム、水滴ができないようなフィルムを使っていて乾燥を防ぎ、新鮮さを保つ工夫がされています。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2016-03-24