一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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紅白の桜

質問者:   教員   ひつじ
登録番号3464   登録日:2016-04-24
今朝(4月24日),大阪市は西成の潮路2丁目というところで,桃色の花の中に白い花が混じってついている桜の木を見かけました.あまり見かけないなと思って写真を撮ったのですが,あとで調べたら,梅や桃ではときどきあるが桜ではないことだという記述を多く見ました.
写真を見返しても花柄が長く葉も幅広で,花桃などだとは思えません.本当に桜では起きないことなのでしょうか.
お教えいただけましたら幸いです.よろしくお願いします.
ひつじ 様

このコーナーをご利用下さり有り難うございます。ご質問には岡山大学の坂本 亘先生がお答え下さいました。ご参考になさって下さい。

【坂本先生からの回答】
桜の季節は終わり、もう5月になってしまいました。今回のご質問、桜の季節に「枝変わり」を見かけたということですね。お写真を拝見していないので推察ということで書かせていただきます。

まず「枝変わり」について。果樹などでは1つの個体で突然変異が生じて花や果実に「変わり種」ができることがあり、これを枝変わりと言います。木の枝が成長する段階のどこか、おそらく枝ができる初期に突然変異が起こって特定の遺伝子が変化してしまったためと考えられます。柑橘では、枝変わりを接ぎ木にして品種を作ったりすることもあります。枝変わりがそのように固定されて遺伝するのであれば、遺伝子に起こった突然変異であることがはっきりわかります。逆に、枝変わりの要因は突然変異でないこともあって、土の栄養とか光の条件によって特定の枝の花色が変わることもあるようです。

ひつじさんが今回見た枝変わりが、どちらかはわかりませんが、来年も見かけたら突然変異の可能性が高そうです。花色だけでなく、葉色にも影響していたり、来年は消えていたりしたら一過的な環境が原因だったかもしれません。来年ぜひ観察してみてください。

桜の枝変わりがどれだけ起きるかについては、私も詳しくわかりませんが、「島根大学農場のジュウロクニチザクラで見つけられた」という最近の紹介記事をネットで見たので、珍しいですが枝変わりはあるようです。ソメイヨシノでは花色が薄いので、見つけにくく、桃は濃い赤なので、見つけやすいのかもしれません。どちらにしても枝変わりを見つけるのは偶然なので、珍しいことです。

 坂本 亘(岡山大学資源植物科学研究所)
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2016-05-11
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