質問者:
会社員
たなか
登録番号3468
登録日:2016-04-27
エアーポテトの栽培について調べていたのですが、日本では同じヤマノイモ科のニガカシュウ(有毒)という植物が自生しているようです。そうしますと、野生種との交雑し出来たムカゴ(食用)や、それから栽培したムカゴが毒を持つことがあるのか疑問に思う様になりました。また、イモに限らず自家採取で収穫する事は、特に趣味用途では頻繁にありますし野菜市など拘り食品としても広く見かけます。交雑や世代更新により農産物(野菜など)が毒性を持つことはありますか?
また、在来種であっても害虫に強い物ばかり採取していると、何世代も繰り返していると毒性の強い物が選び抜かれる懸念などありますか?
仮に稲などで大規模にこれが起きると食糧危機にもなりますが、毒性を持つ危険性はあまり聞かず杞憂かも知れませんが、実際の所、交雑や世代更新などにより、危険な作物が出来る可能性はあるものなのでしょうか?
たなか 様
ご質問を有り難うございます。
選抜や交雑、遺伝子組み換えなどの手法を活用した害虫(ムシ)に強い農作物づくりは広く行われていることですね。
ムシによる害は主には食べられること(食害)で、“蓼食う虫もすきずき”と言われるようにムシの好みはデリケートですが、ムシが食べるかどうかは植物の物理的な性質あるいは化学的な性質によって決まると言えるでしょう。植物体が硬いとかトゲが多いなどの性質が前者、含まれている物質の栄養性や毒性が後者に当たります。「害虫に強いか弱いか」には上述のようないろいろな事情が関わりますが、ここで特に懸念されているのは後者の毒素蓄積の問題ですね。ムシに対する毒性が何時もヒトに対する毒性と重なるとは限りませんが、両者が重なることは十分にあり得ることなので注意が必要です。作物育種の過程ではこの点は十分に考慮されているものと信じます。
むかごで増殖できる植物であるエアーポテトとニガカシュウとの間で自然交配が起こる確率は低いのではないかと想像されますが、交雑種が生れる可能性はあるのでしょうね。
以上、回答とさせていただいます。
ご質問を有り難うございます。
選抜や交雑、遺伝子組み換えなどの手法を活用した害虫(ムシ)に強い農作物づくりは広く行われていることですね。
ムシによる害は主には食べられること(食害)で、“蓼食う虫もすきずき”と言われるようにムシの好みはデリケートですが、ムシが食べるかどうかは植物の物理的な性質あるいは化学的な性質によって決まると言えるでしょう。植物体が硬いとかトゲが多いなどの性質が前者、含まれている物質の栄養性や毒性が後者に当たります。「害虫に強いか弱いか」には上述のようないろいろな事情が関わりますが、ここで特に懸念されているのは後者の毒素蓄積の問題ですね。ムシに対する毒性が何時もヒトに対する毒性と重なるとは限りませんが、両者が重なることは十分にあり得ることなので注意が必要です。作物育種の過程ではこの点は十分に考慮されているものと信じます。
むかごで増殖できる植物であるエアーポテトとニガカシュウとの間で自然交配が起こる確率は低いのではないかと想像されますが、交雑種が生れる可能性はあるのでしょうね。
以上、回答とさせていただいます。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2016-05-09
佐藤 公行
回答日:2016-05-09