質問者:
会社員
クルミとミルク
登録番号3484
登録日:2016-05-23
登録番号1772と2754にある果物の甘味について、みんなのひろば
果物の甘みの変化について
甘味は主としてショ糖、ブドウ糖、果糖であり、葉の中で光合成によって作られたブドウ糖がデンプンになり、夜になるとショ糖に分解されて果実へ送られるとあります。
果実は成長が終わって熟しはじめるとショ糖は送られなくなるとあります。
糖類の甘味度は、ショ糖1.00とするとブドウ糖0.60~0.70、果糖1.20~1.50のようですが、そのバランスによって甘味度が異なってくると思います。
その甘味度に関係する質問として、以下3点を教えてください。
①果実に送られたショ糖は、果実が熟し始めるとブドウ糖や果糖に分解されるのか或いは果実の成長過程でも分解されるのか?
②果実によって3つの糖の割合は決まっているのか?
③成長途中の果実の酸味成分(クエン酸?)は、果実の成長(熟度)とともに無くなっていくのか?
クルミとミルク様
質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。回答が遅くなってすみません。ご質問について
筑波大学生命環境系筑波大学遺伝子実験センターの江面 浩先生にお答えいただきました。
【江面先生からのご回答】
①果実に送られたショ糖は、果実が熟し始めるとブドウ糖や果糖に分解されるのか或いは果実の成長過程でも分解されるのか?
[回答] 果実という言葉が非常に広範な植物種を含みますので、正確にお答えすることが難しい御質問です(以下も同じ)。果実は、一般的には、ブドウ糖や果糖などのヘキソース蓄積型果実と主にショ糖を蓄積するスクロース蓄積型果実に分類されます。ヘキソース蓄積型の果実では、果実発達の初期からブドウ糖や果糖の蓄積が始まっているので、果実に送られてきたショ糖は果実の成長過程でもブドウ糖や果糖に分解されていると言えるでしょう。
②果実によって3つの糖の割合は決まっているのか?
[回答] 先にも記述した通り、ショ糖を蓄える傾向の強い果実とブドウ糖や果糖などを蓄える傾向の強い果実があります。そして、これらの糖組成に違いが果実の味の違いになって現れます。この割合は、品種・系統によっても違っており、それぞれの品種・系統に特徴的な甘さを出しています。例えば、同じメロンでも高級メロンとしてしられているマスクメロンは、ブドウ糖や果糖の割合が高く、さわやかな甘さを与え、一般の露地メロン(店頭で1つ500円位で販売されているメロン)はショ糖が多いとされており、さわやかな甘さと感じる人は少ないようです。イチゴも古い品種ですが、西日本に適した品種として育成された”とよのか”はブドウ糖や果糖の割合が高く、東日本で盛んに栽培された”女峰”という品種は、ショ糖が多い品種でした。
③成長途中の果実の酸味成分(クエン酸?)は、果実の成長(熟度)とともになくなっていくのか。
[回答] 果実の酸味成分の主なものは、クエン酸とリンゴ酸です。ミカンなどの柑橘類は、クエン酸を貯めるタイプの果実です。一方、リンゴやモモなどはリンゴ酸を貯めるタイプの果実です。何れも果実の生長と共に果実に蓄積されますが、成熟に従って分解されていきます。長いこと果実を貯蔵しておくと味がぼけるのは、これらの有機酸が分解され、酸味が減っていくからです。
江面 浩(筑波大学生命環境系筑波大学遺伝子実験センター)
質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。回答が遅くなってすみません。ご質問について
筑波大学生命環境系筑波大学遺伝子実験センターの江面 浩先生にお答えいただきました。
【江面先生からのご回答】
①果実に送られたショ糖は、果実が熟し始めるとブドウ糖や果糖に分解されるのか或いは果実の成長過程でも分解されるのか?
[回答] 果実という言葉が非常に広範な植物種を含みますので、正確にお答えすることが難しい御質問です(以下も同じ)。果実は、一般的には、ブドウ糖や果糖などのヘキソース蓄積型果実と主にショ糖を蓄積するスクロース蓄積型果実に分類されます。ヘキソース蓄積型の果実では、果実発達の初期からブドウ糖や果糖の蓄積が始まっているので、果実に送られてきたショ糖は果実の成長過程でもブドウ糖や果糖に分解されていると言えるでしょう。
②果実によって3つの糖の割合は決まっているのか?
[回答] 先にも記述した通り、ショ糖を蓄える傾向の強い果実とブドウ糖や果糖などを蓄える傾向の強い果実があります。そして、これらの糖組成に違いが果実の味の違いになって現れます。この割合は、品種・系統によっても違っており、それぞれの品種・系統に特徴的な甘さを出しています。例えば、同じメロンでも高級メロンとしてしられているマスクメロンは、ブドウ糖や果糖の割合が高く、さわやかな甘さを与え、一般の露地メロン(店頭で1つ500円位で販売されているメロン)はショ糖が多いとされており、さわやかな甘さと感じる人は少ないようです。イチゴも古い品種ですが、西日本に適した品種として育成された”とよのか”はブドウ糖や果糖の割合が高く、東日本で盛んに栽培された”女峰”という品種は、ショ糖が多い品種でした。
③成長途中の果実の酸味成分(クエン酸?)は、果実の成長(熟度)とともになくなっていくのか。
[回答] 果実の酸味成分の主なものは、クエン酸とリンゴ酸です。ミカンなどの柑橘類は、クエン酸を貯めるタイプの果実です。一方、リンゴやモモなどはリンゴ酸を貯めるタイプの果実です。何れも果実の生長と共に果実に蓄積されますが、成熟に従って分解されていきます。長いこと果実を貯蔵しておくと味がぼけるのは、これらの有機酸が分解され、酸味が減っていくからです。
江面 浩(筑波大学生命環境系筑波大学遺伝子実験センター)
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2016-06-11
勝見 允行
回答日:2016-06-11