質問者:
教員
せーちゃん
登録番号3498
登録日:2016-06-02
中学校1年生の教科書ではみんなのひろば
アジサイは気孔がない葉の表から蒸散するのでしょうか?
蒸散のによる水の吸い上げ実験があります。
次のような手順です
①ほぼ同じ大きさの葉で、枚数がそろっている枝(アジサイなど)を3本用意する。その際、ア:何もしない、イ:葉の表にワセリンを塗る、ウ:葉の裏にワセリンを塗る
②水の量を測って三角フラスコに入れ、水中で切った枝をさす。さらに、油を注いで、水面から蒸発を防ぐ。
③ア~ウの質量を測定したのち、すべての試験管を日の当たる風通しの良いところに、数十分おいて後、再びア~ウの質量を測定し、減少量を測定する。
結果:ア2.8g イ2.4g ウ0.7g となり、
ウの減少量は茎と葉からの蒸散によるものであるとなっているのですが、アジサイの葉の気孔を調べると、そもそも表側からはまったく気孔が見つかりません。
そこで、アジサイには、本当は表にも裏にも気孔があるのでしょうか?それともアジサイには、表に気孔がない生物でしょうか?
あるいは、葉の表に気孔がなくとも、葉の表から若干の蒸散が可能なのでしょうか?
教えてください。
せーちゃん様
質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。植物の蒸散作用は、植物が根付いている土壌から根によって水と水に溶けている各種無機物質(イオン)を吸い上げ、植物体の地上へ輸送するために必要な動力源のようなものです。水は根毛から吸収され、維管束組織の道管に移動し、それを上昇します。そして葉の組織まで到達した水分は主として気孔と呼ばれる葉の表皮にある小孔から大気中へ放出されます。なお、植物体からの水の消失は普通のいわゆる蒸発によって、量は少ないですが起こります。蒸散の仕組みや気孔については質問コーナーで過去の質問への回答を参考にしてください。「蒸散」・「気孔」で検索すると多数の関連する項目があります(例えば登録番号2231,2288)。実験については、例えば「登録番号2056」など。
さて、ご質問の内容ですが、気孔の数や分布は植物の種類によってまた、生育状態によっても異なります(気孔の分布についての詳しいことは「登録番号634」を是非読んでください。)。また、葉以外の器官にも多くはありませんが、存在します。実験に使用されたアジサイは気孔が葉の裏面にのみ分布していることが知られています。このような植物は珍しいことではなく、他にコリウス、ポインセティア、キヅタの仲間、カシやマツの仲間などがあります。したがって、生徒さんが得た実験は妥当なものです。
なお、アとイの差を気にされているのかもしれませんが、その差は0.4gしかなく、使用したアジサイの切り枝の蒸散力の個体差かもしれません。実験では普通個体差を考慮して何組かあるいは複数の同様の個体を同時に使い、結果を統計処理して判断します。つまり、「誤差」なのかちゃんとした「差」なのかを推定するわけです。それから、道管はいわば毛細管で、その中を根から葉まで切れることなない水柱でできています。葉の枝や茎を切ると切り口から空気が入り、水柱が切断され、空氣泡が大きくなると水の上昇が止まります(登録番号2163)。この種の実験をする時はこういう点にも気をつけてください。
質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。植物の蒸散作用は、植物が根付いている土壌から根によって水と水に溶けている各種無機物質(イオン)を吸い上げ、植物体の地上へ輸送するために必要な動力源のようなものです。水は根毛から吸収され、維管束組織の道管に移動し、それを上昇します。そして葉の組織まで到達した水分は主として気孔と呼ばれる葉の表皮にある小孔から大気中へ放出されます。なお、植物体からの水の消失は普通のいわゆる蒸発によって、量は少ないですが起こります。蒸散の仕組みや気孔については質問コーナーで過去の質問への回答を参考にしてください。「蒸散」・「気孔」で検索すると多数の関連する項目があります(例えば登録番号2231,2288)。実験については、例えば「登録番号2056」など。
さて、ご質問の内容ですが、気孔の数や分布は植物の種類によってまた、生育状態によっても異なります(気孔の分布についての詳しいことは「登録番号634」を是非読んでください。)。また、葉以外の器官にも多くはありませんが、存在します。実験に使用されたアジサイは気孔が葉の裏面にのみ分布していることが知られています。このような植物は珍しいことではなく、他にコリウス、ポインセティア、キヅタの仲間、カシやマツの仲間などがあります。したがって、生徒さんが得た実験は妥当なものです。
なお、アとイの差を気にされているのかもしれませんが、その差は0.4gしかなく、使用したアジサイの切り枝の蒸散力の個体差かもしれません。実験では普通個体差を考慮して何組かあるいは複数の同様の個体を同時に使い、結果を統計処理して判断します。つまり、「誤差」なのかちゃんとした「差」なのかを推定するわけです。それから、道管はいわば毛細管で、その中を根から葉まで切れることなない水柱でできています。葉の枝や茎を切ると切り口から空気が入り、水柱が切断され、空氣泡が大きくなると水の上昇が止まります(登録番号2163)。この種の実験をする時はこういう点にも気をつけてください。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2016-06-10
勝見 允行
回答日:2016-06-10