一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

チェックリストに保存

斑の役割について

質問者:   一般   月橘
登録番号3503   登録日:2016-06-11
自然における斑の役割、利点とは何でしょうか?
それとも単なる奇形の一種、動物で言う身体障害に過ぎないのでしょうか?
月橘様

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。
ご質問の「斑」とは植物の花や葉に見られる「斑入り」のことですね。
斑入りのことについては登録番号0235「植物の斑入りについて」をお読みください。また、「斑入り」という語句で検索していただくと、過去の関連する質問と回答がたくさんありますので、参考にしてください。
花の色と模様は受粉のために昆虫を惹きつける役割をしていると考えれらてます。葉の場合でもマタタビのように白い葉は花が側にあることを昆虫にアッピールしているのだと言われています。
しかし、花や葉の斑入りはトランスポゾンという動く遺伝子によっても突然できたり、消えたりしますので(登録番号0235参照)、そういう一時的な斑入りが昆虫の花のパターン認識に役立っているかどうかはわかりません。
また、育種のよって作出された新規の斑入りの花の模様が、虫媒において何か特別の意義を持つかどうかもわかりません。たまたま生じる斑入り現象は、植物にとってはある意味で奇形と言って良いのかもしれません。
園芸に於ける様々な品種はそういう奇形を人が珍重して保全してきたものだとも言えるでしょう。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2016-06-19