一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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朝どり野菜の糖度について

質問者:   公務員   tom195
登録番号3531   登録日:2016-07-10
最近、テレビの番組で夜に糖分を蓄積するので、朝に収穫すると糖度が高くなると紹介されているのをよく見ます(例えばトウモロコシなど)。
一般的に日中に光合成が行われ、呼吸などで糖類が消費されるとともに、シンクに輸送されて、糖類が蓄積すると思います。夜は呼吸だけになりますので、昼間よりも糖類の消費量が増え、夕方ぐらいに一番蓄積されるように思えるのですが、実際のところいつぐらいに一番蓄積されるのでしょうか。
tom195 さん

ご質問を有り難うございます。
「野菜」と一言で言っても、植物の種類は勿論、食用に供する器官や生育段階の違いなどによって事情は異なると思います。

トウモロコシの場合、食用となる種子の胚乳における糖分の蓄積量は、ご指摘のように、葉などの光合成器官で合成されるショ糖などの産物の供給速度、それを素材としたデンプン・タンパク質・脂質などの高分子化合物の合成速度、組織における呼吸による産物の消費速度などのバランスの上に成り立っております。酵素による触媒反応であるこれらの反応速度のバランスは温度や光の影響を受けて大きく変動するものと思われます。下記の論文では、トウモロコシについて、ショ糖などの化学成分の含量とその代謝に関係する酵素活性の収穫時期による違いが調べられています。少し古い論文ですが、関心ごとに正面から挑んだ研究のようですので、ご参考になさって下さい。

(記)
増田・山下・金子著「スイートコーン呈味成分含量の収穫時刻による相異」:日本食品化学会誌:第44巻186-191(1997).

JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2017-02-02
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