一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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切り花の茎を焼く理由

質問者:   会社員   砂川
登録番号3553   登録日:2016-07-31
切り花の水あげの方法として、花の種類によっては茎の先端をバーナー等で焼く方法があるそうですが、この方法で吸水が良くなる理由が分かりません。
炭化させる事がどういった原理で水あげに繋がるのかを化学的に説明している資料が見つからなかったのでご教示下さい。
砂川 さま

ご質問、ありがとうございます。
 まずは植物がどのように水を吸っているのかを説明したいと思います。ちゃんと根と茎と葉(花)がそろった植物は、根の表皮細胞が水を吸収し、その水が道管と呼ばれる細い管に入り込み、この道管がストローのように地上部につながり、葉や花に水を供給します。このとき、道管の中はずっと水で満たされていて、葉や花の特別な種類の表皮細胞(気孔)でおこる蒸散によって、吸い上げられます。ところが、切り花のために茎で切ってしまうと、茎の切り口の部分で道管が途切れてしまい、途切れた道管の中に空気が入ってしまいます。そして、道管に空気が入ったことにより、水の流れが止まってしまい、花や葉がしおれるということになります。水の中で茎を切る「水切り」は、空気の入った道管部分を水の中で取り除くことになり、そのまま水の流れができるわけです。
 さて、切り口を炭化するまで焼く「焼きあげ」について化学的(科学的)に説明を、とのことですが、調べてみましたが、科学的に説明した論文などはありませんでしたので、回答はあくまでも予想に留まります。上記の水の流れを考えると、切り口を炭化させることによって、空気が入っていた部分が除かれること、道管内の水がいったん膨張して空気を押し出し、水につけて温度が下がるときに空気が入らない状態で水を吸い上げること、が考えられます。また、炭は水をよく吸収しますので、このことも水揚げにつながるのでしょう。
JSPP広報委員長
出村 拓
回答日:2017-02-07
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