質問者:
高校生
KT
登録番号3557
登録日:2016-08-02
「さまざまな場面で活躍するフェノール」のQ&Aを読ませていただきました。私たちの科学系部活動では、柑橘の果皮が蛍光を発することに興味を持ち、植物が何のために蛍光するフラボノイドをつくるのかを調べています。今までに、柑橘に寄生する緑色のカビを抑制することはわかりました。昨年はネーブルオレンジの果皮が成長のどの時期にどのフラボノイドを作るのかを定量分析しました。植物にとって必要な時期を探ることで、何のために生合成するのかを推測するためです。その結果、シネセチン・ノビレチンは果実が成熟するにつれて減少し、ヘプタメトキシフラボンは、逆に果実が成熟するにつれて増加することがわかりました。ヘプタメトキシフラボンは、植物にとってどのような作用をするのか、すでに分かっていることはありますでしょうか。書物やインターネットで調べましたが、シネセチン・ノビレチンと異なり、ヘプタメトキシフラボンが成熟果実に必要である理由を見つけることができず、今後の研究の方向性を見いだせないでいます。
みんなのひろば
ヘプタメトキシフラボンの植物への作用は?
KT さん:
みんなの広場のご利用ありがとうございます。
面白い課題ですがなかなかむずかしい課題でもありますね。登録番号2105に述べましたがフラボノイドはテルペン類、アルカロイド類などともに植物の二次代謝産物の一群です。フラボノイドなどは活性酸素を消去する作用があるので光合成やその他の酸化反応で生ずる有毒な活性酸素を消去して自己防衛的な働きがあります。アルカロイド類や一部のトリテルペン類は動物に毒性を示すものが多く、やはり動物の食害を防ぐ防御的働きを持っていると考えられます。ヘプタメトキシフラボンを含むポリメトキシフラボン類はフラボノイドの水酸基のほとんどがメチル基とのエステルになっていて活性酸素消去活性は低いことが示されています。さらに主に柑橘類に特異的に含まれることなどを考え合わせると、活性酸素消去による自己防衛的役割を持っていると一般化することはむずかしいところです。
シネンセチン(ペンタメトキシ)、ノビレチン(ヘキサメトキシ)の減少とともにヘプタメトキシフラボンが増加するのは水酸化(酸化反応)とメトキシ化が進行する結果とみれば当然ですが、シネンセチン、ノビレチンの減少の時間的経過とヘプタメトキシフラボンの増加の時間的経過を測定、比較し、前駆物質―生産物の関係が成り立つかどうかを調べる必要があります。シネンセチン→ノビレチン→ヘプタフラボノイドの順に生合成する可能性がしっかりと示されたら面白い成果になると思います。
みんなの広場のご利用ありがとうございます。
面白い課題ですがなかなかむずかしい課題でもありますね。登録番号2105に述べましたがフラボノイドはテルペン類、アルカロイド類などともに植物の二次代謝産物の一群です。フラボノイドなどは活性酸素を消去する作用があるので光合成やその他の酸化反応で生ずる有毒な活性酸素を消去して自己防衛的な働きがあります。アルカロイド類や一部のトリテルペン類は動物に毒性を示すものが多く、やはり動物の食害を防ぐ防御的働きを持っていると考えられます。ヘプタメトキシフラボンを含むポリメトキシフラボン類はフラボノイドの水酸基のほとんどがメチル基とのエステルになっていて活性酸素消去活性は低いことが示されています。さらに主に柑橘類に特異的に含まれることなどを考え合わせると、活性酸素消去による自己防衛的役割を持っていると一般化することはむずかしいところです。
シネンセチン(ペンタメトキシ)、ノビレチン(ヘキサメトキシ)の減少とともにヘプタメトキシフラボンが増加するのは水酸化(酸化反応)とメトキシ化が進行する結果とみれば当然ですが、シネンセチン、ノビレチンの減少の時間的経過とヘプタメトキシフラボンの増加の時間的経過を測定、比較し、前駆物質―生産物の関係が成り立つかどうかを調べる必要があります。シネンセチン→ノビレチン→ヘプタフラボノイドの順に生合成する可能性がしっかりと示されたら面白い成果になると思います。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2017-02-09
今関 英雅
回答日:2017-02-09