質問者:
小学生
Yuki-vn
登録番号3560
登録日:2016-08-03
小学校2年の時から変化アサガオを育てています。昨年初めて交配をしました(種は変化朝顔研究会からいただきました。)昨年、白いアサガオ(S-507黄葉白撫子牡丹の親木)と市販の青い大輪(暁の海)を交配したところ、青と薄い青の縞模様の花が咲きました。今のところ4株とも同じ模様です。メンデルの法則では縞模様は優性だということがわかったのですが、親は両方とも無地です。雌は白い花、雄は青い無地の花です。どちらかに縞模様の性質があったのですか?優性なら、どうして表に出ていなかったのか不思議です。また、同じ青い花を他の花と交配しても、縞模様は出ていません。よろしくお願いします。
アサガオの花模様
Yuki-vn さま
ご質問ありがとうございます。アサガオを研究材料とされている基礎生物学研究所の星野敦先生に回答をお願いしました。
【星野先生のご回答】
まず、両親の「どちらかに縞模様の性質があったのですか?」についてです。こたえは、両親に縞模様の性質があったです。もう少し正確にいうと、性質を決めている遺伝子が両親にあったとなります。縞模様になるためには、いくつかの優性の遺伝子がそろう必要があります。今から50年以上も前に、あなたと同じような交配実験をした先生方がいて、Bz1~Bz3の3つがそろう必要があることを見つけています。アサガオの遺伝子のリストが仁田坂英二先生(九州大学)のウェブサイトにあるので、こちらも参照してみてください。
http://mg.biology.kyushu-u.ac.jp/gene-classic.php
次に「優性なら、どうして表に出ていなかったのか不思議です。」ということですが、どちらの両親とも、Bz1~Bz3のいずれかを欠いていたとすると不思議ではありません。たとえば、S-507がBz1とBz3だけを、暁の海がBz2だけをもっていたという具合です。S-507と暁の海をかけ合わせてできた子供は、Bz1~Bz3が優性ですので縞模様になります。仮に劣性だと縞模様は子供の世代には出てこないで、孫の世代に出てくることになります。それから「また、同じ青い花を他の花と交配しても、縞模様は出ていません。」も、他の花はS-507がもっているBzを欠いていると説明できます。まだ試していないほかのアサガオと交配してみてください。そのアサガオがS-507とおなじBzをもっていれば、縞模様の子供になるはずです。
ところでBz1~Bz3のうちの1つは、もとはA3遺伝子であることを森田裕将先生(名城大学)が見つけています。このA3遺伝子には花の色素をつくる働きがあり、その詳しいことについては、こちらも読んでみてください。
http://bsj.or.jp/jpn/general/research/03.php
Bz(おそらくBz2)は、A3遺伝子が突然変異をおこしてできました。Bzは花の色素をつくる働きをする部分と、その働きを止めてしまうスイッチの部分の両方をもっています。このスイッチが入ると色素が十分につくれないので花は薄い色になりますが、スイッチが切れると濃い色になります。一つの花の中でスイッチが切りかわり、濃淡ができて縞模様になると考えています。それから、ほかのBz(おそらくBz1とBz3)には、スイッチを入れたり切ったりする役割があるようです。この役割をもっている遺伝子はまだ見つかっていません。とても不思議な遺伝子なので、研究をつづけて見つけたいと思っています。ほかの生物でも知られていない、新しい発見につながる気がしています。
ほかにもBzには不思議なことがあります。今年の夏、縞模様のアサガオからとれた種をできるだけたくさんまいて、花を観察してみてください。もしかしたら、その不思議なことに気が付くと思います。また分からないことがあったら、ぜひ質問してくださいね。
星野 敦(基礎生物学研究所)
出村 拓(JSPP広報委員長)
ご質問ありがとうございます。アサガオを研究材料とされている基礎生物学研究所の星野敦先生に回答をお願いしました。
【星野先生のご回答】
まず、両親の「どちらかに縞模様の性質があったのですか?」についてです。こたえは、両親に縞模様の性質があったです。もう少し正確にいうと、性質を決めている遺伝子が両親にあったとなります。縞模様になるためには、いくつかの優性の遺伝子がそろう必要があります。今から50年以上も前に、あなたと同じような交配実験をした先生方がいて、Bz1~Bz3の3つがそろう必要があることを見つけています。アサガオの遺伝子のリストが仁田坂英二先生(九州大学)のウェブサイトにあるので、こちらも参照してみてください。
http://mg.biology.kyushu-u.ac.jp/gene-classic.php
次に「優性なら、どうして表に出ていなかったのか不思議です。」ということですが、どちらの両親とも、Bz1~Bz3のいずれかを欠いていたとすると不思議ではありません。たとえば、S-507がBz1とBz3だけを、暁の海がBz2だけをもっていたという具合です。S-507と暁の海をかけ合わせてできた子供は、Bz1~Bz3が優性ですので縞模様になります。仮に劣性だと縞模様は子供の世代には出てこないで、孫の世代に出てくることになります。それから「また、同じ青い花を他の花と交配しても、縞模様は出ていません。」も、他の花はS-507がもっているBzを欠いていると説明できます。まだ試していないほかのアサガオと交配してみてください。そのアサガオがS-507とおなじBzをもっていれば、縞模様の子供になるはずです。
ところでBz1~Bz3のうちの1つは、もとはA3遺伝子であることを森田裕将先生(名城大学)が見つけています。このA3遺伝子には花の色素をつくる働きがあり、その詳しいことについては、こちらも読んでみてください。
http://bsj.or.jp/jpn/general/research/03.php
Bz(おそらくBz2)は、A3遺伝子が突然変異をおこしてできました。Bzは花の色素をつくる働きをする部分と、その働きを止めてしまうスイッチの部分の両方をもっています。このスイッチが入ると色素が十分につくれないので花は薄い色になりますが、スイッチが切れると濃い色になります。一つの花の中でスイッチが切りかわり、濃淡ができて縞模様になると考えています。それから、ほかのBz(おそらくBz1とBz3)には、スイッチを入れたり切ったりする役割があるようです。この役割をもっている遺伝子はまだ見つかっていません。とても不思議な遺伝子なので、研究をつづけて見つけたいと思っています。ほかの生物でも知られていない、新しい発見につながる気がしています。
ほかにもBzには不思議なことがあります。今年の夏、縞模様のアサガオからとれた種をできるだけたくさんまいて、花を観察してみてください。もしかしたら、その不思議なことに気が付くと思います。また分からないことがあったら、ぜひ質問してくださいね。
星野 敦(基礎生物学研究所)
出村 拓(JSPP広報委員長)
回答日:2017-02-15