一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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オオハンゴンソウの駆除方法

質問者:   一般   今 来代
登録番号3566   登録日:2016-08-07
 私の住んでいる町は、札幌と同じ平均気温の町ですが、最近、オオハンゴンソウが60㎡以上にわたって道端に繁茂してしまっている場所があります。昨年から、年に1回小学生と駆除作業をするのですが、なかなか減りません。そこにあった在来種のヤマホタルブクロなどの野草が全く無くなってしまっています。
 オオハンゴンソウがある場所は毎年町が草刈りをしているのですが、ぎっしりと株が繁茂していて緑の芝生のようです。
 こんなに繁殖力の強いのはどうしてでしょうか。どうやったら効果的な駆除ができるのでしょうか。植物生理学の立場から教えていただければと思います。

 また、セイタカアワダチソウのように、最近その数が減ってきているように思える外来種がありますが、オオハンゴンソウも放っておいたら自然と数が減少する可能性があるのでしょうか。
今 来代 様

ご質問ありがとうございます。
 オオハンゴンソウは北アメリカ原産のキク科の植物で、明治中期に観賞用として輸入されました。今では、野生化して全国に分布しています。特に中部地方以北の寒冷な地域で、河川敷、湿原、荒れ地、路傍などで繁茂して、在来種への影響が懸念されています。
 この植物の旺盛な繁殖力についてのご質問ですが、その理由の一つは、作られる種子数が多いことです。一株当たり1,600の種子ができるそうです。また、その種子は休眠性があり、土壌に埋まっていても発芽能力を維持しており(埋土種子)、発芽の障害となる条件がなくなると発芽します。
 もう一つは種子以外に根茎(地下にある茎の部分)から側枝を伸ばし繁殖できることです。埋土種子も地下茎も地中にありますから、寒さなどの不良環境にも耐えることができます。
 また、背丈が1.5~2mに達する植物ですので、下部の植物の光利用を抑制し、他種との競争に打ち勝ち繁殖する要因になっていることも考えられます。

 駆除にかんしましては、北海道開発局をはじめ、多方面で検討されていますが、有効な方法はまだ確立していないようです。今できる方法としては、種子ができる前に刈り取る、地下茎を残さぬように抜き取る(これらの操作を年複数回行う)、
種子がついた植物体や根茎は土に埋めずに焼却することなどが薦められています。それでも、埋土種子を含めて残っていた種子や残っていた根茎(2.6gの根茎からも繁殖するそうですので取りきるのは困難)から繁殖すると思われますので、毎年、あきらめずに除去作業を繰り返し行うより仕方ないようです。
 農薬の使用も考えられ、有効な与え方などが検討されていますが、他種への影響など多くの検討課題があります。

 最後の質問に関してですが、セイダカアワダチソウは第二次世界大戦後、全国各地で大繁殖をしましたが、1980年代から勢いが衰えてきたと言われています。その理由としては、長い根を伸ばし、地下50 cm くらいの深い土壌から養分を吸収していたが、その地層の養分が枯渇してきたこと、根から植物の生長を抑制する物質を分泌して他種の植物の生長を阻害することで他種との競争に打ち勝ってきたが、その物質が土壌に蓄積して自身の生長を阻害するようになったこと、その結果背丈が低くなり他種の光利用の阻害効果が減じたことなどが考えられています。また、大規模な刈り取りおよび抜き取り作業を毎年繰り返すことによって、在来の植物が勢いを盛り返している地域もあるそうです。オオハンゴンソウの場合は、セイダカアワダチソウが大繁殖した理由があてはまりませんので、少なくともセイダカアワダチソウ勢いが弱まった理由での勢いの衰えはないと思われます。勢いが衰えることの要因を予測することはまだできておりません。
JSPPサイエンスアドバイザー
庄野 邦彦
回答日:2017-01-29