一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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かぼちゃの種の発芽について

質問者:   小学生   カリン
登録番号3580   登録日:2016-08-21
かぼちゃを切ったときの中の種が芽を出すかどうかを実験しました。脱脂綿に水を吸わせてケースに入れてその上に置きました。芽が出て、葉っぱも出てきたものもあれば、根っこが出かかってそれ以上出てこなかったものもありました。たくさん入れすぎたらいけないのかと思いました。
次に、種を何個入れたら芽が出るか実験しました。
同じようにケースを作り、1個、2個、3個、4個、5個、6個それぞれ入れたケースを作りました。
1個、2個、3個までは全部芽が出ました。4個は、2個だけ根が出かかっていますがそのままで大きくなりません。5個いれたものからは、3個芽が出ました。6個は全然出ません。
種は、丸ごとのかぼちゃを切ったときに、水でよく洗い、水に浮いた同じくらいの大きさのものを選びました。
脱脂綿が乾かない程度に水はいれました。
発芽の条件の、温度、水、空気はあります。
1個、2個、3個までは全部発芽して、それ以上は全部は発芽しなかったので、ケースがせまくなって種どうしがけんかするような感じになるのですか?教えてください。
カリンさん:

みんなの広場のご利用ありがとうございます。

同じカボチャからとった種子なのに発芽したり発芽しなかったりするものがあったのは不思議ですね。このお答えは登録番号2324をご覧になればおわかりですが、もう一度要約します。

まず、食用に買ってくるカボチャは未熟です。未熟というのはなかにある種子が十分に成熟していない恐れがあると言うことです。2324にもありますが、カボチャの種子は取り出した直後は多く休眠しています。休眠というのは、種子でも、芽(秋に枝のできる冬芽など)でも出来たてのときはすぐ発芽しないように眠った状態になっていることです。眠りの状態はいろいろで、未熟種子の休眠は深く、成熟した種子の休眠は浅いか、眠りから覚めたものもあるはずです。カリンさんが切った食用のカボチャは比較的未熟なので、なかの種子の成熟度もいろいろだったと思います。つまり、取り出した種子の形は同じようでも成熟度が違い、まだ休眠しているもの休眠から覚めたものが混ざっていたのではないかと思います。そのため発芽したもの発芽しないものが出てきたと思われます。もう一つの原因は、種子の皮(固いから)に発芽を妨げる物質が含まれていることす。根だけ出て茎が伸びなかったものなどはこの物質のためかもしれません。種子の発芽はふつう根が先に出てきます、眠りから覚めていたので発芽し始めたのですが種子のからにあった抑制物質が溶け出してきて働きそれ以上成長できなかったためと思われます。1つの入れ物に沢山の種子をまくと発芽しなくなるのもこの発芽抑制物質のためでしょう。種子をまくと、からに含まれていた発芽抑制物質が溶け出してきます。沢山の種子をまくとこの発芽抑制物質の濃度が高くなりますね。そのために発芽できなくなるのです。種子同士のけんかとも言えますね。
このような種子(黒皮ヒマワリ、スイカなど)はたくさんあります。カリンさん、種子の固いからを上手にむくと胚(胚)と呼ばれるカボチャの赤ちゃんが出てきます。
この胚をまいてみてください。おそらくほとんどが発芽するのではないかと思います。ついでに一言、カボチャの胚は炒って食べると香ばしくて美味しいですよ。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2017-02-27
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