一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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クワズイモの葉柄から根のようなものが出ました

質問者:   一般   クシダ
登録番号3614   登録日:2016-10-04
 9月中旬、涼しくなってきたので水やりを控え始めていたところ、クワズイモの葉柄(葉の下、緑色の茎の部分)の葉に近い上の方からヒゲのような短い根が数カ所生えてきました。ヒゲの根元には小さく丸い茶色のシミのようなものがポチポチでき、触ると指に引っかかるような感覚がします。
 ヒゲが生えたのは3本ある葉柄のうちの1本のみで、唯一葉が日光側に向かず成長したものです。ヒゲは全て葉柄の外側(日陰側)に生えました。

 2年間同じ部屋で育てていますが初めての出来事です(北陸の気候です)。これが根だとすれば何故ここから生えたのでしょうか。類似の情報が見当たらず質問いたしました。どうかご教示下さい。
クシダ様

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。クワズイモは鑑賞植物として結構人気があるようですね。色々調べてみましたが、クワズイモ(単一の種類ではないようですが)自体のこういう現象についての研究報告は見つかりませんでした。写真がないので想像でしか言えませんが、ヒゲの根のようなものは植物学でいう「不定根」だと思います。不定根については質問コーナーで「不定根」で検索してしてください。関連した沢山のl質問/回答がありますので。それらを読んで勉強してください。植物は再生能力が高いので、葉、茎、根、などの器官や様々な組織から、根(不定根)や芽(不定芽)を形成することができます。生育中の個体からも、切り取った部分からも形成されます。観察された葉柄の基部からも条件が揃えば、不定根の形成はありうることです。不定根が形成されるには内的因子として植物ホルモンのオーキシンが必要です。おそらく何かの原因で特にその部分にオーキシンが供給されたのかもしれません。褐色のポチポチのようなものができてそこから根様体が生じているとのことですが、もしかすると、そのポチポチはカルスというものかもしれません。植物は傷を受けるとその場所で細胞が分裂を始めアモルファスの細胞の塊を形成します。切り取った組織や器官でも同じです。(質問コーナーで「カルス」と検索して下さい。)カルスからは不定根や不定芽を容易に形成させることができます。通常オーキシンともう一つのホルモンであるサイトカイニンとの濃度比でどちらが分化するかが決まります。したがって、褐色の構造体がカルスだとするとそれが原因でオーキシンの局所的濃度が高くなり、不定根が分化したと思われます。以上はあくまでも推定です。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2017-03-06
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