質問者:
高校生
アキ
登録番号3633
登録日:2016-11-11
脳波センサなどを葉につける事により植物の状態などを観測することができる葉面電位があると聞きました。葉面電位について
調べてみたのですがどのような原理で計測できているのかわかりませんでした。
この葉面電位というのは活動電位を葉の表面から計測しているのでしょうか?それともまったく別のものを計測しているのでしょうか?
アキ さま
ご質問ありがとうございます。葉面電位に関する研究をご専門とされている金沢工業大学の松本恵子先生に回答をいただきました。
【松本先生のご回答】
とても良い質問ですね。知的好奇心が旺盛で立派だと思います。
さて、葉面電位とは、茎や葉といった植物生体の表面(ただし、「葉面電位」という場合には葉に限定されますね)の異なる2か所における電位差のことを指します。葉面電位は脳波や筋電図と同様に、生体の発する信号の一つです。では、葉面電位が具体的に、植物のどんな生育状態を表すのか?ということについは、現時点では明確には解明されていません。水分ストレスの有無や光合成活性の高低といった生育状態が、電位変動に反映されているようです。
一方、葉面電位の測定原理は、ご質問文で述べられているように、ヒトの脳波、筋電図、心電図と同様です。大まかにいうと、銀/塩化銀などの素材からできている皿電極を、測定部位2か所に張り付けることにより、当該2か所の「電位の差」を検出します。繰り返しになりますが、例えば心電図の場合ですと、それを測ることにより、心電波形の異常を検知でき、さらに、例えば「不整脈があるぞ!」などといった異変を判断することができますね。でも、葉面電位の場合は、「いつもの電位波形とちょっと違うな???」ということは解っても、具体的に、どんなふうに植物の具合が悪いか?ということまでは、わからないのが現状です。もし、これが明らかにされれば、農業分野や園芸分野などで実践的な技術開発が可能になります。
また、活動電位とは細胞レベル(細胞膜電位)の現象ですが、葉面電位は組織レベルでの現象でありますので、活動電位とは異なります。オジギソウなどの接触刺激に反応して動くような植物の場合は、細胞膜の活動電位の変動が葉面電位に影響を与えているかも知れませんね。こちらも、現時点では、膜電位との関連性は明確にされていません。
質問者さまの目の付け所、とても良いです。ぜひ、大学に進み、葉面電位の発生の仕組みや、それを用いた植物の健康診断など、研究してみてください。計測工学・農学・理学・生物学分野などなど、多くの学問分野を総動員してアプロ―チすることが求められる課題です。
松本 恵子(金沢工業大学バイオ・化学部)
ご質問ありがとうございます。葉面電位に関する研究をご専門とされている金沢工業大学の松本恵子先生に回答をいただきました。
【松本先生のご回答】
とても良い質問ですね。知的好奇心が旺盛で立派だと思います。
さて、葉面電位とは、茎や葉といった植物生体の表面(ただし、「葉面電位」という場合には葉に限定されますね)の異なる2か所における電位差のことを指します。葉面電位は脳波や筋電図と同様に、生体の発する信号の一つです。では、葉面電位が具体的に、植物のどんな生育状態を表すのか?ということについは、現時点では明確には解明されていません。水分ストレスの有無や光合成活性の高低といった生育状態が、電位変動に反映されているようです。
一方、葉面電位の測定原理は、ご質問文で述べられているように、ヒトの脳波、筋電図、心電図と同様です。大まかにいうと、銀/塩化銀などの素材からできている皿電極を、測定部位2か所に張り付けることにより、当該2か所の「電位の差」を検出します。繰り返しになりますが、例えば心電図の場合ですと、それを測ることにより、心電波形の異常を検知でき、さらに、例えば「不整脈があるぞ!」などといった異変を判断することができますね。でも、葉面電位の場合は、「いつもの電位波形とちょっと違うな???」ということは解っても、具体的に、どんなふうに植物の具合が悪いか?ということまでは、わからないのが現状です。もし、これが明らかにされれば、農業分野や園芸分野などで実践的な技術開発が可能になります。
また、活動電位とは細胞レベル(細胞膜電位)の現象ですが、葉面電位は組織レベルでの現象でありますので、活動電位とは異なります。オジギソウなどの接触刺激に反応して動くような植物の場合は、細胞膜の活動電位の変動が葉面電位に影響を与えているかも知れませんね。こちらも、現時点では、膜電位との関連性は明確にされていません。
質問者さまの目の付け所、とても良いです。ぜひ、大学に進み、葉面電位の発生の仕組みや、それを用いた植物の健康診断など、研究してみてください。計測工学・農学・理学・生物学分野などなど、多くの学問分野を総動員してアプロ―チすることが求められる課題です。
松本 恵子(金沢工業大学バイオ・化学部)
JSPP広報委員長
出村 拓
回答日:2017-04-17
出村 拓
回答日:2017-04-17