一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ナス科の頂芽優位

質問者:   教員   CB
登録番号3658   登録日:2016-12-21
昔からナス科の植物は側芽に小さい葉が出てから生長が止まるような気がしていました。頂芽優位が弱い? 私の気のせいなのか、どんな生理的理由があるのか、知りたいと思います。
CBさま

 ご質問有り難うございました。ナスは戦時中疎開先の岡山で作ったことがあり、沢山の収穫がありました。ただ、果実の出来だけに気を取られて、ナスの植物の生長の様子をしっかり見ていなかったので、この回答のための情報は本(農家が教えるナスつくり・農文協)からのものです。
 芽生えの主軸では葉が10枚くらい出来ると主軸の先端に花が出来、主軸の生長は止まり、一番上に出来た側枝が主軸の代わりを勤めるようになります(このような主軸の交代現象を「仮軸分枝」と云います)。さて「頂芽優勢」ですが、花が咲くまでは主軸の先端は「頂芽優勢」の能力を備えていました。ところが花が咲いたことでその能力を失ってしまいました。頂芽は茎を通して下の方に植物ホルモンのオーキシンを送って側芽の伸びるのを抑えていますが、花を咲かせたことで、オーキシンを送らなくなったと言うことです。ご質問の中の「生長が止る」は何の生長なのかはっきり書かれていませんが、多分、仮軸分枝の時の主軸だろうと思います。旧主軸は伸長を行っている間は「頂芽優勢」能力を備えていましたが、主軸を交代した時点でその能力を失ってしまったのです。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2017-02-03
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