一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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土壌を酸性化させて除草

質問者:   その他   中澤 知史
登録番号0366   登録日:2005-08-29
10haある住宅団地造成工事現場において、背丈が2〜3mにも成長するあかざ対策に頭を抱えております。

あかざはほうれん草と同じ科だから酸性土壌では育ちにくくなり、代わりにオオバコやら、スギナのような背の低い植物が繁殖してくれれば良いと考えてみました。
とはいえ、希硫酸or硫黄華を造成地に散布したときの環境への影響も懸念されます。

実際に、効果はどの程度期待できるのか、希硫酸or硫黄華を散布するとしたらどの程度散布したらよいのか?
その時、環境に配慮するとしたら、どのような対策を講じたら良いのかアドバイスがありましたら宜しくお願いします。
中澤 知史 さん:

大変遅くなりましたが登録番号0366にお答えいたします。
ある地区の植物相を人為的に制御することは容易なことではありません。
農地では除草剤をはじめいくつかの農薬を組み合わせて、特定の植物種を残すように工夫を凝らしています。多くの時間と経費をかけて一応の「安全性基準」をクリアーした農薬ですら、使用に関しては環境、安全性への配慮、懸念を常に忘れていません。
土壌の酸性度を変えるために希硫酸や硫黄華を散布するにはどうしたら良いか、とのご質問ですが、このようなことを調査する科学的根拠はないために知見はありません。元来日本の土壌は酸性土壌になりやすく農林業において問題になっている向きもあります。酸性土壌では例えばアルミニウムのような植物に毒性の強い金属が遊離しますので大きな問題となるわけです。したがって、希硫酸を散布するようなことは大量の酸性雨を局所的に降らせるのと同じで、かなり乱暴な試みです。「環境に配慮している」などと述べたところで実際は大きな土壌破壊、ひいては環境破壊につながるものです。慎重な再度のご検討をお願いする次第です。
JSPPサイエンスアドバイザー
 今関 英雅
回答日:2009-07-03
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