月橘 さま

ご質問、どうもありがとうございます。寄生植物研究をご専門とされている奈良先端科学技術大学院大学の吉田聡子先生にご回答いただきました。

【吉田先生のご回答】
面白い観察結果ですね。蔓植物と言ってもたくさん種類があります。巻き髭を作ってからみつくタイプのものや、茎から根や棘を出して張り付いたり引っ掛けるもの、茎自体が巻きつくアサガオのようなもの、また、ネナシカズラのような寄生植物は寄生根を作ります。寄生植物の場合は寄生根が他の植物に侵入してそこから栄養をとって生活するので、巻きついていないと枯れてしまいます。でも、「絡ませていない蔓だけ枯れる」とおっしゃっているので、ご質問の植物はおそらく巻き髭タイプのものだろうと思います。巻き髭は葉の変形したもので、巻きついた髭が栄養や水分をとったりするとは考えられていませんので、絡みついていない蔓が枯れてしまう理由は分かりません。文献も探してみましたが、絡みついていない蔓が枯れる、という現象は吸盤を作るタイプの植物では論文で言及されていますが、他の蔓植物では報告されていないようです。
おそらく巻き付いていない蔓は固定されておらず、空中に漂っている状態ですので、風に吹かれて大きく動き、他のものにぶつかったり、水分が蒸発しやすい環境にあるのではないでしょうか。乾燥やストレスにより枯れているということが考えられます。蔓植物を風に当たらないように覆ってみて、それでも巻きついていない蔓だけ枯れるようでしたら、何かまだ知られていないメカニズムがあるのかもしれません。

　吉田　聡子（奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科）