質問者:
会社員
ぬぅ
登録番号3669
登録日:2017-01-19
桜の天狗巣病を取っているときに幹にすす病をみつけましたみんなのひろば
桜の蜜線と蟻とすす病
すす病はアブラムシ、カイガラムシの排泄物が原因で発生します
一方桜は蜜線から蜜をだして蟻を引き寄せ蟻に幼虫をとってもらいます。また蟻とアブラムシは共生関係にあります。であるなら桜はアブラムシがいることを容認しいるようです。自らすす病を誘発しているようで不思議です
ぬぅ 様
国立研究開発法人森林総合研究所のきのこ・森林微生物領域の佐橋憲生博士に回答していただきました。
【佐橋博士のご回答】
アリはアブラムシがお尻から出す排泄物(甘露)をもらい、アブラムシの天敵を追い払ってアブラムシを守っています。このアリとアブラムシとの共生関係は有名な話ですが、サクラが自分に害を与えるすす病を、アブラムシを介して間接的に受け入れているとは言えないと思います。ご指摘のように、サクラが蜜を出してアリを引き寄せ、アリとアブラムシが共生関係にあるなら、結果としてサクラは間接的にアブラムシ等の排泄物を利用する、すす病菌を利しているように見えます。しかし、関係する双方が相手の利益になるように行動しているのではなく、自然界には勝手に振る舞った結果が偶然にも相手の利益に繋がっているケースが多々見られます。したがって、サクラが自ら自分に害を及ぼす、すす病を誘発していると考えるのではなく、結果が偶々そのように見えると解釈するのが妥当です。自然界には、人間の価値観では説明しきれない現象がまだまだ沢山あるように思われます。なお、すす病は樹木に大きな被害を引き起こすことは稀で、特に幹に発生しているのであれば、サクラにとってはほとんど影響がないと思われます。
(櫻井の補足)
生物はそれぞれが勝手に生きており、全体としてその植物の生存確率を高めるてくれるような他の生物(アリ)に対しては、サクラの側に後者ににとっても利益になるような応答をするという現象が見られます。
サクラが蜜腺から蜜を出すことは、アリを引き寄せ、アリは毛虫の幼虫などを食べてくれるという利点がサクラ側にあります。
他方、アブラムシはアリが好む蜜を出してくれるので、アリはこちらも保護します。サクラにとって、アブラムシの存在は、その排泄物が病気を誘発する可能性を高めるという不利益があるかもしれません。
アリを招き寄せることにはこのような不利益があるものの、全体としてみれば、毛虫の幼虫によって葉を食い尽くされるよりはましだとも考えられます。
佐橋先生のご説明のように、野生のサクラにとって、すす病による害は、可能性があるにしても、その程度は軽微だと考えられます。
これに対し、園芸作物では、病虫害に対する抵抗性が低下していても、ヒトがその防除に手を貸してくれるので、生きながらえることができるという面があると思います。
佐橋 憲生(森林総合研究所)
国立研究開発法人森林総合研究所のきのこ・森林微生物領域の佐橋憲生博士に回答していただきました。
【佐橋博士のご回答】
アリはアブラムシがお尻から出す排泄物(甘露)をもらい、アブラムシの天敵を追い払ってアブラムシを守っています。このアリとアブラムシとの共生関係は有名な話ですが、サクラが自分に害を与えるすす病を、アブラムシを介して間接的に受け入れているとは言えないと思います。ご指摘のように、サクラが蜜を出してアリを引き寄せ、アリとアブラムシが共生関係にあるなら、結果としてサクラは間接的にアブラムシ等の排泄物を利用する、すす病菌を利しているように見えます。しかし、関係する双方が相手の利益になるように行動しているのではなく、自然界には勝手に振る舞った結果が偶然にも相手の利益に繋がっているケースが多々見られます。したがって、サクラが自ら自分に害を及ぼす、すす病を誘発していると考えるのではなく、結果が偶々そのように見えると解釈するのが妥当です。自然界には、人間の価値観では説明しきれない現象がまだまだ沢山あるように思われます。なお、すす病は樹木に大きな被害を引き起こすことは稀で、特に幹に発生しているのであれば、サクラにとってはほとんど影響がないと思われます。
(櫻井の補足)
生物はそれぞれが勝手に生きており、全体としてその植物の生存確率を高めるてくれるような他の生物(アリ)に対しては、サクラの側に後者ににとっても利益になるような応答をするという現象が見られます。
サクラが蜜腺から蜜を出すことは、アリを引き寄せ、アリは毛虫の幼虫などを食べてくれるという利点がサクラ側にあります。
他方、アブラムシはアリが好む蜜を出してくれるので、アリはこちらも保護します。サクラにとって、アブラムシの存在は、その排泄物が病気を誘発する可能性を高めるという不利益があるかもしれません。
アリを招き寄せることにはこのような不利益があるものの、全体としてみれば、毛虫の幼虫によって葉を食い尽くされるよりはましだとも考えられます。
佐橋先生のご説明のように、野生のサクラにとって、すす病による害は、可能性があるにしても、その程度は軽微だと考えられます。
これに対し、園芸作物では、病虫害に対する抵抗性が低下していても、ヒトがその防除に手を貸してくれるので、生きながらえることができるという面があると思います。
佐橋 憲生(森林総合研究所)
JSPP サイエンスアドバイザー
櫻井 英博
回答日:2017-02-07
櫻井 英博
回答日:2017-02-07